三人と矢島さん ページ3
そういえば…
『…千さんと兄ちゃんって、一緒に住んでるんだよね？』
隣に座っている千さんに聞く。
「そうね、これから三人になる予定だけど。…ちょっと狭いかな？」
『三人…？』
ずっと兄ちゃんの方を見ていた千さんが私を見る。
「Aが来るでしょ？だから三人。」
『あ…』
当然のことのように言う千さん。
すぐに言葉が出てこなかった。
「…嫌？」
悲しそうな顔をする千さんに首を振って全力で否定した。
『ち、違います！……えっと、ビックリして……。嬉しくて。』
「ふふ…、そう。何も無い部屋だけど、…あ、事故物件だけど。」
安心したように笑う千さんに自然と頬が緩んだ。
嬉しい、表情でも言葉でも表せないくらい。
病院の狭い病室を出ても、私に居場所がある。
住んでる家のことをポツリポツリと話し始める千さん。
今もまだリハビリのお兄さんと家のこと、私のことについて真剣に話をしている兄ちゃん。
それだけで、ここに居てもいいよと言われている気がした。
私は存在していいんだと思えた。
二人は私をちゃんと見てくれる。
そのことが泣きたくなるくらい嬉しかった。
―――――
主治医の先生とも話をして、一週間後に退院が決まった。
退院しても一年間くらいは定期的に病院で検査を受けないといけないらしい。
矢島さんが「やったー！！良かったね！！」と大喜びしてからすぐに「ぐすっ…うわぁ〜ん、Aちゃんと会えなくなる〜…寂しいよぉ〜……」と泣き始める。
「大の大人が泣きすぎ。」
「あぁ…顔ぐちゃぐちゃになってるよ？」
「…千くん冷たい……百くん言わんでいい……。」
『えっと……まだ退院してないよ…？』
泣いてる矢島さんをなだめながら、まだ続く三人の会話を見ていた。
「そんな睨まなくても…僕推しでしょ？」
「いいえ、私はもうAちゃん推しです〜！」
口を尖らせて言いながら矢島さんに抱きしめられる。
見てただけが私も会話に巻き込まれてしまった。
…けどいいな、こんな雰囲気。
友達同士の会話ってこんな感じなのかな？三人とも大人だけど。
結局また怖い看護師さんがやってくるまで言い合い？喧嘩？仲良く談笑？は続いた。
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欅夏希 - とっても面白いです！感情の変化や状況などが分かりやすく、読みやすいなぁと個人的には思っています！お話を作るのは簡単ではないかもしれませんが、続きを読めるのを楽しみに待たせて頂きます。無理なさらず、頑張って下さい。 (2020年3月27日 22時) (
レス) id: 94cd216a66 (このIDを非表示/違反報告)
柚木夏紗 - 面白いっ!!!!更新待ってます！！！ (2020年3月18日 7時) (レス) id: 73f9f96d98 (このIDを非表示/違反報告)
聖(プロフ) - はじめまして いつも更新を楽しみにしています。 これからも頑張ってください^_^ (2020年3月14日 12時) (レス) id: d507af1541 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：テル | 作成日時：2020年3月3日 13時
