行ってらっしゃい ページ15
「Re:valeはまだ売り出し中ですし、地方に仕事に行かなければならないことも多いです。仕事時間も不定期なので、この家にAさん一人になることも多くなると思います。
社長と相談したところ、日中ならば事務所にいていただいても良いということです。…どうされますか?」
岡崎さんはじっと私を見ている。
確かにまだ私をひとりで家に置いておくのは心配だろうな…。
でも私がいるから仕事が満足に出来ないとかいう迷惑なんてかけたくない。
兄ちゃんを安心させるためにも事務所にいさせてもらった方が良いかもしれない。
『…分かりました。では、兄たちが家にいない時はお邪魔してもいいですか?』
「はい!もちろんです!」
再びにっこり笑う岡崎さん。
だけど腕時計を見て一瞬にして青ざめた。
「やばい!!百くん千くん急いで!!」
「もうちょっと!!」
「もうちょっとも時間無いんですってば!千くんも起き…あぁいいです!そのまま車に乗せましょう。
…あ!それでAさんはどうしますか?今日は二人とも午前の仕事だけなのでお昼過ぎには千くんは家に戻られると思います。」
時計を見ると時刻は8時。
兄ちゃんは、午後からバイトか。
…どうしようかな?………よし!
『いえ、今日は大丈夫です。…兄ちゃん、図書館行ってきていい?』
「図書館?うん、いいよ!」
上着を着ながら兄ちゃんが頷く。
「それなら途中まで一緒に送りますよ!そこの大通りの奥の図書館ですか?」
『はい、ありがとうございます!』
読みたい本があるわけではなかったけど、昨日見かけた時からちょっと気になってた大きな図書館。
私の知らないことが書かれた本がいっぱいあるだろうし、もしかしたらこれからやりたいことも見つかるかもしれない。
兄ちゃんが千さんをおぶって玄関を出ていく。
私もそれに続いて外に出た。
車で図書館の前まで運んでもらってお礼を言って降りる。
「行ってらっしゃい!気を付けてね!知らない人にはついてっちゃダメだからね!お昼には帰るんだよ?それから…」
『あはは!多いよ!』
「だってA可愛いから心配なんだもん!」
口を尖らせる兄ちゃんにまた笑うと、先ほどやっと目を開けた千さんが真顔で言った。
「A、変な人に絡まれたら大事なトコ蹴っ飛ばしてダッシュで僕の所に来るんだよ?いい?分かった?」
「絡まれる前に逃げて下さい!千くんも変なこと教えない!」
『…そんなに子どもじゃ』
「「「子どもです!!/だよ。」」」
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欅夏希 - とっても面白いです!感情の変化や状況などが分かりやすく、読みやすいなぁと個人的には思っています!お話を作るのは簡単ではないかもしれませんが、続きを読めるのを楽しみに待たせて頂きます。無理なさらず、頑張って下さい。 (2020年3月27日 22時) (レス) id: 94cd216a66 (このIDを非表示/違反報告)
柚木夏紗 - 面白いっ!!!!更新待ってます!!! (2020年3月18日 7時) (レス) id: 73f9f96d98 (このIDを非表示/違反報告)
聖(プロフ) - はじめまして いつも更新を楽しみにしています。 これからも頑張ってください^_^ (2020年3月14日 12時) (レス) id: d507af1541 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:テル | 作成日時:2020年3月3日 13時