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一人じゃない夜 ページ12

矢島さん、初めてコノヤロウ…って思ったよ。

こういう服着てるモデルの子ってすごいな…前の私も平気で着てたけど。
写真撮影はそれからもうしばらく続いた。





―――――
このアパートに来て初めての夜。

ペンギンパジャマは押し入れの奥にしまった。

まだ私の分の布団が無いので、二つある布団を横向きに敷いて川の字になって寝転ぶ。
真ん中に私、右側が千さん、左側に兄ちゃん。

誰かと一緒に寝ることなんて初めてだ。
なんだか不思議な感じ。
事故物件だし、ガタガタ物音はするし、部屋は真っ暗だけど怖くはなかった。

暗闇の中、目を開ける。
隣で寝息が聞こえてくる。
千さんはもう寝ちゃったみたい。

目が慣れて、天井からぶら下がっている電球がぼんやりと浮かび上がる。
なかなか寝付けなくて何度も寝返りをしていると起きていたらしい兄ちゃんと目が合った。

「…眠れない?」

僅かな月明かりに照らされて、桃色の瞳が暗がりで光る。

『うん…。兄ちゃんも?』

「オレは〜、なんていうか…緊張して。」

『緊張?』

「うん、だってこんなカワイイ妹とカッコいい人が隣で寝てるんだよ?もうすっごいドキドキしてる!」

はにかんだ顔のまま興奮したように言葉を続ける。
千さんを起こしてしまわないように小声で話す兄ちゃんに頬が緩んだ。

『私もドキドキしてるよ。緊張は…多分してないけど。』

「Aも?」

『誰かと一緒に眠るの、初めて。』

「…そっか。」

兄ちゃんの眉が少しだけ下がる。
大きくてあったかい手が伸びてきて、私の頭をそっと撫でる。

「…これからはずっと兄ちゃんたちが傍にいるよ。Aを一人になんかしない。」

ニッと歯を見せて笑う兄ちゃん。
でも、言葉には力がこもっていた。

『…うん!』

「寒くない?」

『うん。』

「じゃあ目を閉じて。そしたらそのうち寝ちゃってるから。」

『うん。……ねぇ、兄ちゃん?』

「ん?」

『……手、握ってもいい?』

「…ふふ、うん。もちろん!」

兄ちゃんの言葉は本当で、気が付けばすぅっと眠りに落ちていた。
手から伝わる温かさは夜の寒さも静けさも忘れさせてくれた。

その日は久しぶりに夢も見ないで眠ることが出来た。





―――――

【…う?】

…苦しい?
なんだか重たい。

薄っすらと目を開けると昨日と同じ部屋。
外は明るくて朝日が窓から差し込んでいる。

そろそろ起きる時間かな?
もぞもぞと体を動かして起きようとするけど、体が動かない。

『…ん…?』

寝相→←プレゼント?



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作品ジャンル:アニメ
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欅夏希 - とっても面白いです!感情の変化や状況などが分かりやすく、読みやすいなぁと個人的には思っています!お話を作るのは簡単ではないかもしれませんが、続きを読めるのを楽しみに待たせて頂きます。無理なさらず、頑張って下さい。 (2020年3月27日 22時) (レス) id: 94cd216a66 (このIDを非表示/違反報告)
柚木夏紗 - 面白いっ!!!!更新待ってます!!! (2020年3月18日 7時) (レス) id: 73f9f96d98 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - はじめまして いつも更新を楽しみにしています。 これからも頑張ってください^_^ (2020年3月14日 12時) (レス) id: d507af1541 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:テル | 作成日時:2020年3月3日 13時

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