結婚相手募集され中2《サバイバルウェディング》

彼の真の心 ページ48

祐一「僕は小さい頃から父を
スーパーマンだと思っていました。
それは今も変わりません。
そんな父に憧れ、僕は一人息子として
家業を継ぐものだと思っていました。

…しかし、年が上がるにつれ、
自分の能力の低さに絶望感を持ち、
僕は父のようにはなれないと諦めたんです。
うちには優秀な役員の皆さんがいます。
その方々から後継者を探すことが
父が一代で築き上げた会社を守る方法だと
本気で思っていたからです。
それと同時に、僕はインドでの起業を
本気で考えていましたから。

…でも、ずっと何処かで引っかかっていて。
これでいいのか、と自問自答を繰り返しました。

なぜ、決意したのか。
１つはやはり父が倒れたことにありますが、
ここにいるAさんを本気で好きになって、
自分に正直になりたい、
Aさんとなら
この先の人生を一緒に足掻いてみたいと
思ったからなんです。

彼女は本当にしっかりした女性です。
僕が迷ったら一緒に考え、
正しき道を示してくれる光のような。

…だから、彼女と2人でなら
柏木corporationを守っていける、そう
信じています。

父さん、母さん
僕はAさんと2人で
大事な会社を受け継いでいきたいのです。
どうか、Aさんとの婚約を認め、
僕を後継者にすることを考えてください」




彼の必死な訴えに、
胸が熱くなり、涙が溢れそうになる。


「私からもどうかお願いします！
もちろん、皆様を前にして
私たち2人なら会社を守れる、と
豪語するつもりはありませんが、
私も祐一さんも覚悟を決めたからこそ
どんな道でも乗り越えたいと思っています。
その証として、留学先を別の国に決めました。

祐一さんは経営を学ぶ為アメリカへ、
私はマネジメントを学ぶ為に
イギリスへ留学するつもりです。

それぞれが別の国で学ぶことで
得られる収穫も多いと思いますし、
お互いの精神的自立も図れることでしょう。

私は彼が後継者となった時には、
妻や秘書として支えるのではなく、
一役員として彼と一緒に経営に携わるつもりです。

その為にも、私も真剣に営業戦略を
学びにいきたいと考えています。
どうか、お認め頂けませんでしょうか」




柏木母「貴女は私と違って強い女性ね。
私は惣一さんと一緒になる時、
専業主婦になることしか考えていなかったもの。
…きっと、祐一の優柔不断なところとか
優しすぎるところをフォローしてくれる、
良いパートナーになってくれると信じてるわ」




「奥様、そうではないのです」

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