結婚相手募集され中2《サバイバルウェディング》

家族会議 ページ37

荒木「…Aさん、
俺腹が減ったんで、ご飯行きたいんすけど」



断ろうかと思った私だったけど、
時間も時間だし、と荒木くんリクエストの
ステーキを食べに行き、
そして、家まで送ってもらった。


家の前に着いて別れ際に手を振ると、
荒木くんが後ろから抱き締めてきた。


「ちょっと！何？離して！」



荒木「俺、今日よく我慢したなー」



「だから、離してって！」



荒木「そんなに怒んないでって…」



「怒るわよ！
それに私、祐一さんと付き合い始めたんだから」



荒木「やっぱりか…。
さしずめ、俺はモブってやつ？」



「はぁ？何言ってるかわかんないけど、
これ以上、何かしたら
もうモデルなんてやらないからね！」

私は彼の鳩尾辺りに
軽く肘打ちをして走って家に入った。





全く！油断も隙もありゃしないんだから！






…




次の日、
我が家では家族会議が開かれた。

この間の緊急会議の結果を報告すると。



父「お前達も知ってのとおり、
柏木コーポレーションの代表で
うちの社外取締役を務めている
柏木社長が先日心筋梗塞で倒れた。

命に別状はないが、当分仕事の制限もあるし、
再発だってないとは言い切れない。

うちは代表を1人しか設置していなかったが、
この間の緊急会議で複数選出することにした」



母「どなたになるんです？」



父「ああ、まだ承諾はもらっていないが、
○○大の経済学部教授 仙石先生と
○○銀行の元会長 高藤さんの予定だ。
2人は業界で有名だからな」



ふーん…名前は聞いたことある。


父「それと、A。
祐一君はどうなっている」


急に振られてビクッとしたが、

「どういう意味ですか？」



父「祐一君はやっぱり
会社を継ぐ気はないのか？」



「…特にそういうお話はありませんが」



父「そうか。残念だ」


父はそれ以上、祐一さんについては
何も口にしなかった。




そして今日はみんなが待ち侘びた
祐一さんの帰国日。


空港に着いたら
柏木社長の病院に直行する予定である。


ガラガラ…とスーツケースを引っ張りながら
足早に向かってくる人の中に
祐一さんを見つけて駆け寄る。

「おかえりなさい…」


祐一「ただいま。お迎えありがとう。
さ、父さんのところへ行こうか」







部屋に入ろうとノックをしようとしたが、
中からは柏木社長の罵声が飛んでいる。


柏木父「アイツには無理だ！
あんな親不孝者に務まるわけないだろう！」


私達はこの会話の意味が分かってしまった。

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