結婚相手募集され中2《サバイバルウェディング》

彼の正体 ページ34

柏木社長の病院騒ぎの次の日、
携帯には荒木くんからの連絡が入った。


いや、祐一さんが
日本を経つ日から連絡は入ってたんだけど、
それどころじゃなかったから
折り返しもしていなかった。



「もしもし」



荒木「あー、Aさん、やっと出てくれた」



「バタバタしててそれどころじゃなかったのよ。
…で？絵のことよね？」



荒木「そうっすよ！
今日の夜、会えませんか？」



「仕事帰りだからそんなに時間はとれないけど」



荒木「大丈夫っす。
じゃあ、仕事終わる頃連絡下さいよ、
会社に迎え行くんで」



「いや、それはしないで。
誰が見ているかわかんないんだから」



荒木「それは誤解されたくないってこと？」



「それもあるけど、
騒ぎ立てられたら面倒でしょ」



荒木「じゃあ、会社の近くで
待ち合わせなら良いっすよね」



半ば強引に約束を取り付けられた。






仕事が終わり、彼に連絡を入れると、
既に近くのカフェで待っているらしい。


「お待たせ」



荒木「お疲れっす。
一杯くらい飲んでから行きますか？」



「ううん、遅くなっちゃうからいい」


お店を出て駐車場に行くと、
うちの車ではない外車が止まってて。

荒木「これ、俺の車っす」



「え、」



荒木「やっぱ自分の車に
乗ってもらいたいっすからね、どうぞ！」

そう言ってドアを開けてくれた。

お金ないんじゃなかったの？


「自分で買ったの？」



荒木「そうって言えたらカッコいいんすけど、
爺ちゃんに買ってもらったんすよ」


ええー…
誕生日に外車買ってくれるお爺ちゃんって！
一体どんな生活をしてるのよ、


「実はお金持ちのお家なの？」


荒木「爺ちゃん家がね」



「あ、なるほど…」



荒木「俺の母ちゃんが爺ちゃんの娘なんだけど、
一般人の父ちゃんと結婚したから
俺ん家は普通なんすよ」


恋愛結婚されたってことか。

森の方へしばらく走ると、車が停まった。



何これ…目の前にあるのは、一体？

ここだけ世界が違うような
カラフルな建物があった。


「これ、何？」


荒木「俺のアトリエ」


私は何度目かの衝撃を受けた。
俺の…？

「あなたのアトリエ？」


荒木「そうっすよ。はい、降りて降りて」


まるでおとぎの国に存在するかのような
不思議なデザインの建物。

一体彼は何者なんだろうか。


中に入ると、
たしかに如何にもアトリエって感じ。

画材があちらこちらにあるし、
沢山絵や骨董品が飾られている。

彼の趣味なんだろうか。

アトリエ→←一難去って

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