結婚相手募集され中2《サバイバルウェディング》

バイトくん ページ16

泣いたせいで目が重く、
携帯を開いてみたが連絡はきていない。





そう思ってまた寝ようとすると、
ガチャリ、と鍵が開いた。



、え、！？
ホテルの部屋のキーが開けられて
中に人が入ってきた。


？「なんだ、居るんじゃん」



「…え！ちょっ、あなた、誰？」



？「はぁ？迎えに行ってこいって
言われたから来たんすけど。
バイトの荒木っすよ。
何度もドアの前で呼んだのに返事ないから
開けてもらっちゃったじゃないっすか！」




「それ、犯罪でしょ！
ここのセキュリティどうなってるの！
しかも、携帯連絡してないじゃない！」




荒木「まーまー、そんな怒んないでって。
携帯充電切れてて…ほら。
とりあえず、これに着替えて
帰りますよ、Aお嬢様」




「なに、その呼び方。普通で良いわよ」




荒木「普通って言われても…
普通の呼び方わかんないっすよ」




「えー！？川村で良いって言ってるの」




荒木「なんか、いかにも
強気なお嬢様って感じっすね。
優璃も強いけど」




「なんかすごい失礼ね。
お迎え、どうもありがとう。
とりあえず着替えたらすぐ出るから
ちょっと待ってて」





荒木「へいへーい」





なに、なんなの、こいつ。
なんでこんなバイト、家で雇ってんの？
信じられない。言葉遣いとかなに？

さっきまでと違う意味でショックを受けたわ。





優璃の服を着て、
私は荒木さんの運転する車に乗り込んだ。


「…ところで、あなた、さっき、
優璃って呼び捨てしたわね。
友達なの？彼氏なの？」




荒木「あー、優璃の大学の友達っすよ。
金が無くて、
高い画材買えなくなったって言ってたら
優璃が紹介してくれた」



「…あぁ、そう」




荒木「それ、スッピンっすよね？」



「…そうだけど、なに？
そんなにジロジロ見るのやめてくれないかしら」



荒木「いや、綺麗なのに勿体ないって」



「はぁ？なにが言いたいのよ」



荒木「顔が疲れてるから。
初めて見た時、絵のモデルにしたいって
思ってたんすよ」



「え、私あなたのこと初めて見たけど」



荒木「何度も会ってますけどね。
まあ、眼中になかったんでしょ」



「眼中って…とりあえず、寝て良いかしら」



荒木「ねー、Aさん、
今から暇なんすよね？」



「だから何？」



荒木「絵のモデルになってくんないっすか？」



「なんで私が。優璃にでも頼みなさいよ」



荒木「さっきも言った通り、
Aさんの顔が描きたいんす」



「嫌です」

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