【リヴァイ】残酷で美しい世界に【進撃の巨人】 (ページ8)

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＃04 ページ8

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どうにもむかつきが収まらず、あてもなくふらふらと兵舎周辺を歩いていれば、随分と立派な木を見つけた。
木の根元には、俺に生意気な口をきいたクソガキが呑気に昼寝をかましていた。

邪魔の1つでもしてやらねぇと気が済まない。
そんな大人げない思考で、クソガキへ近づけば、昼寝には大概似つかわしくない程険しい顔つきで眠っていた。
ふと、その険しさが消えたとき、俺は、この女の寝顔に思わず息を飲んだ。

ゆるりと風になびく細い銀色の髪、覗くのは陶器のように白く透ける肌と整った位置に配置された顔のパーツたち。
閉じられた瞳は、長いまつ毛が縁取り、通った鼻筋と高くも低くもない小ぶりな鼻先。
そして、大きすぎない薄い唇は、ルージュをひけと言わんばかりに白かった。

四肢を投げ出し眠るこの姿は、変態貴族がこぞって欲しがるであろう、等身大のビスクドールのようだ。まぁ、俺はついぞ本物なんて見たことはねぇんだが。

「ッ、……気持ちわりぃ」

その整いすぎた顔は、俺にとってはだいぶ気味が悪かった。
先程、コイツと話したときに感じた妙な既視感は今ばかりは感じられず、血の通った人間の美しさが欠如したこの顔を繁々と眺める。
一瞬、かすかに身じろぎをしたように感じ、急いで後ずされば、先程までのようにまた魘され始めた。

「おい、クソガキ、起きやがれ、いつまで寝てるつもりだ」

優しく肩をゆすって起こすなんて俺の柄じゃねぇ。代わりに、先程のやり返しを兼ねてジゼルの腹を思いっきり蹴とばすと、案の定ジゼルは痛みで跳ね起きた。

しかし、俺に焦点を結んだようで虚ろな目をしているジゼルに違和感を覚えた。
まさか、寝ぼけているのか。

「……おい、クソガキ、さっさと起きろ」

「…で」

俺の声に僅かに反応を見せ、深く俯く。

「あァ?」

「どうして……あの時、私を生かしたりしたんだ」

何のことだ。どこかで会ったことがあるような気がしているのは確かだが、俺の記憶の中では、俺とお前はここにきて初めて会ったはずだ。

ゆらりと焦点の定まらない目で、ジゼルは俺の胸倉をつかむ。
俺は、反射で胸倉をつかんだガキの手を捻り上げ、足を払う。そして、倒れたクソガキの胸の中央を踏みつけた。

「テメェ何しやがる、お前とは食堂で初めて会ったばかりの筈だが?」

そこで初めて、ジゼルが意識の覚醒に合わせて俺に焦点を結んだ。