【リヴァイ】残酷で美しい世界に【進撃の巨人】 (ページ2)

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序章02 ページ2

「ちょうさ…へいだん?」

おうむ返しに問い返す私に男は頷いた。
そして、それ以上の説明は時間の無駄だと思ったのか「君が追われるとしたら、憲兵だろう。アイツらとは証が違う」と軽く説明めいたことを話すと、私へ、酷く優しいまなざしを向けた。

「君なら、知っているだろう?
君のつかの間の親……ヤシャ・ルー」

「ッ!!」

「もう一度聞こう、君の名前は」
「ジゼル、私が、ジゼル・ルーだ」

男はやっとつかんだ、と言わんばかりに微笑むと、私の頭をするりと愛おしそうに撫でた。
条件反射だった。ビクリと大きく肩を震わせ私は男の腕を払う。
どこからこんな力が、と思ったのか、私の反抗的な態度になのか、男は少し驚いた顔をしたが、殴ることも罵ることもせず、ただもう一度、優しい声色と共に私の頭を撫でた。

「見つけるのが遅くなってすまなかったね。
私は、ヤシャから君を頼まれた、エルヴィン・スミスだ。
このシルバーのリング、彼の物だろう?」

私のリングへと手を伸ばすエルヴィン・スミスからリングを庇いながら私は「そうだ」とだけ短く答える。

「彼から君を頼まれてしばらくたってしまった。
今更来た私を許してほしい。一度、ここに探しに来たが、見つけられなかったんだ。
本当にすまなかった。長らく一人にしてすまなかったね
…さぁ、行こう。これからは地上で暮らすんだ」

私を腕の中に納めて、抵抗は許さない、というように強く、強く私を抱きすくめた。
とても力強いのに、とてもやさしいこの感覚に、私は知れず涙を流していたらしい。
だが、ここに長らくいた私は、その言葉と優しさに絆されるほど弱くもないのだ。

「だ、れが……誰が貴様のような者と一緒になど行くものか!」

渾身の力でエルヴィン・スミスの胸を殴る。
私は、信じないと決めたのだ。もう、二度と…。ここで、この街で人を信じることがどれほど愚行であるのかを私は骨身に沁みてわかっているから。

「ジゼル、これを読んでくれないか。
私の元に届いた彼からの最後の手紙、憎らしいほど、君の事しか書いていないんだよ」

恐る恐るエルヴィン・スミスから便箋を受け取ると、そこには、数年ぶりにみる見慣れた文字。
あいにく私は読み書きが不自由で、何と書いてあるのか皆目見当もつかなかった。
しかし、癖のある大きくて優しい、その形には見間違えることの無いほどに見覚えがある。