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38話 そんなの知らないけれど ページ39

悪いなと思いながらも、不二先輩から頂いたタオルで濡れた髪や制服をさっと拭いた。

自分のがあると言いたいところだが、私のは道場から部室に行くまでの道のりですでに濡れてしまっていた。


貴「すみません。ありがとうございます」

不「気にしないで。部活?」

貴「まあ。午前練だけだったんですけど、残って練習してたら雨降ってきて……」

不「傘持ってないんだ」

貴「面目ねえ」

不「クスッ……。時代小説なんて読んでるから、口調、移っちゃったんじゃない?」

貴「ははっ、そうかもです」


会話をするが、視線だけは合わせることができない。そんなことしたら臓器全部吐き出しそうだ。
理由はよくわからん。

部室の鍵を返しに行こうとしただけなのに、タイミングが良いのか悪いのか。


不「僕傘持ってるけど、一緒に入る? 自転車は濡れちゃうけど」

そう言って右手に持っていた傘を少し上げる。
私は全力で首を振った。

貴「そんな! 私のことは気にせず帰ってください。雨止むまでここにいますし」

不「暇じゃないの」

貴「暇になったらまた筋トレでもしてます」

不「運動部だなぁ。今もしてきたんでしょう。やりすぎると逆に良くないよ」

なんだかいつもの会話の店テンポが分かってきたような気がしてきた。
私はそうなんですよねと言って、そのまま続ける。

貴「だから今引き上げてきたんですけど、雨止まないし。つか今日の天気予報6時から降るつったんですよ。まだ6時前だし! 普通に長時間降ってるし!」

段々と声のボリュームが大きくなる。これは怒りだ。雨に対する怒り。天気予報に対する怒りだ。この嘘つきめ一生信じねえぞ。

貴「まったく迷惑なもんですよ」

不「でも雨予報出てるなら、今度は折り畳みくらい持ってこようね」

貴「ウイッス」

笑顔の注意に思わず素直に返事が出る。
そんな私の様子を見て、やっぱり不二先輩は忍び笑いを漏らした。

何が面白いのかわからない。だけど先輩が楽しいと思ってくれているなら、私もうれしい。理由なんか分からない。


貴「じゃあ先輩。お疲れ様です」

余り話を長引かせるのも悪い。
手を上げて先輩に背中を向けようとして、

不「ちょっと待って」

引き留められる。

振り返ってみてみた不二先輩の表情は、いつもと変わらずにこやかだ。

不「僕も一緒に、雨宿りするよ」

最近その笑顔に、胸をどつかれたような感覚に襲われる。

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葉奈(プロフ) - そうですww作者がにこにー推しですww (2015年5月17日 19時) (レス) id: b46f08eacb (このIDを非表示/違反報告)
ユール - えーと…にこにー? (2015年5月15日 18時) (レス) id: 63bdae9473 (このIDを非表示/違反報告)
葉奈(プロフ) - ありがとうございます!がんばって更新しますのでよろしくお願いします!! (2014年11月30日 18時) (レス) id: 884e662617 (このIDを非表示/違反報告)
yunyun - 合格、おめでとうございます。本当に良かったですね。更新、楽しみにしてますね。 (2014年11月30日 15時) (レス) id: 329a32a11c (このIDを非表示/違反報告)
葉奈(プロフ) - 雪代さん» ありがとうございます!!! 頑張りますのでよろしくお願いします! (2014年11月10日 22時) (レス) id: 884e662617 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:葉奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hana1/  
作成日時:2013年10月27日 21時

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