翼を、ひろげて

perceiver JS#3 ページ7

A今日のデート行けなくなっちゃったごめん
伏見大和どうしたの?
伏見大和体調悪い?
Aそんな感じ


…下腹部にズーンと痛みがのしかかる、女の子の日2日目。
久しぶりのデートに行けないのは悲しいけど、
大和くんに迷惑をかけるのはもっと嫌だから、今日のところは我慢。



……うぅー痛い。何だか今回は特に痛みが激しいから、ベッドで寝よう。








"ピーンポーン"

…宅配便かな？
インターホンへ確認しに行くと


伏「Aちゃん、大丈夫？」
『なんでいるの…？』
伏「後で説明するから開けてー」


…大和くんが来ていた。

少しフラフラしながら玄関を開ける。

伏「Aちゃんに行った方がいいか訊いても既読つかないから
心配になって来たんだけど、本当に顔色が悪いね。」


そう言って、おでこに大きな手が当てられる。

伏「熱はなさそうだけど……
あ、もしかしてアレ？あの、女の子の……」


ちょっぴり恥ずかしそうに訊く大和くんに力なく頷くと、



『ひゃ、、、』

お姫様抱っこをされた。
いくら大和くんがスポーツマンでも、こんなの申し訳なさ過ぎる。

『大和くん、少し歩くくらいなら平気だよ…』
伏「こんな辛そうにしてるAちゃん歩かせられないよ。リビングにソファあったよね。」
と言って、ズンズン進んでいく。




リビングに着くと、大和くんは私を抱えたままソファに座った。

伏「こういうときってどうしたら辛いのおさまるかな？」



いつにもまして優しい声の大和くんに、少し甘えさせてもらいたくなった。


『…そばにいて、ギューってしてほしい。あと、』


恥ずかしさを堪えて、大和くんの手を取りお腹の痛い部分に引き寄せる。

『…ここをさすってて欲しいの。』
伏「…分かった。」





大和くんはしばらく、優しくゆっくりとさすり続けてくれた。
『ありがとう、大和くんのおかげですごく楽になったよ。』
伏「それなら良かった。まだ顔色がよくないから、後で元気になるようにご飯作ってあげるね。」


どこまでも優しい彼にまた感謝を告げようとすると、


『っ、、』

抱きしめる力が少し強くなって、
伏「Aちゃんの辛さ、代われるものなら代わりたいよ…」
と、消え入りそうな声で言った。


確かに辛いけど、

『私、大和くんが彼氏ならいいかな…こんなにそばにいてくれるし。』





そう言うと、彼は照れ隠しのように何度もキスを落としてくれた。

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