検索窓
今日:12 hit、昨日:38 hit、合計:196,043 hit

くだらない恋のお遊び ページ34









「 ……因みに、そこまで私に固執される理由は? 」
「 君が面白いから 」
「 すみませんちょっと河村さんに世界が追い付けてないです 」







 彼の意味不明かつ予測不可能な言動に頭が痛くなってきた。
 くらっと揺らめく脳内に、つい手が頭へ向かってしまう。いや、でもこれは河村さんが悪いって。

 偏頭痛なんて今まで無縁だったが、今なら彼らの気持ちがなんとなく分かる。
 この歳で知恵熱出したら笑うぞお前。



 彼の世界に置いていかれて荒ぶっている私の頭とは対照的に、全ての元凶はニコニコと楽しそうに微笑んでいた。まるで伊沢さんのようだ。








「 なら世界に歩調を合わせるとしようか 」
「 是非ともその方向でお願いします 」
「 ―――君に一目惚れしたって言ったら、信じてくれる? 」








 急に落とされる彼の声量。それでも確かに聞こえた、信じがたい五文字。
 なにを言っているんだ、この人は。一目惚れなんて、そんなの、一番無縁そうな人なのに。そんな人が、私なんかを、一目見て?惚れた?

 いやいやいやいや、無い。それはない。絶対にない。

 まずそもそも私のどこに惚れる要素があるって言うんだ。スタイルが良いわけじゃないし、顔も普通だ。性格はこの通りだし、別に天然って訳でもない。
 強いて言うなら傘は忘れやすいけど、でもそれだけだ。


 あー待って、また頭が。









「 その様子じゃ信じてないみたいだね 」
「 そりゃそうですよ。一体どこに惚れる要素があるんですか。からかってるなら殴りますよ 」
「 これでも本気なんだけどなぁ。まぁそういうことだから、伊沢と君にはくっついて貰わないと、僕は諦めつかないの。だから頼むね 」
「 いや意味わかりません。てかそれカレカノになる必要あります? 」
「 少しは僕にもチャンスがないとつまんないじゃん 」
「 やっぱり世界が追い付けない…… 」








 とはいえ、私自身彼の申し込みを断る理由もない。
 伊沢さんからの告白兼プロポーズは半分冗談だろうから全部断っているけど、どうやら彼のは本気そうだ。

 ……少しだけ、まだ躊躇いはあるけれど。







「 もし伊沢を好きになったら、すぐに切り捨てて良いからさ。少しだけ俺のお遊びに付き合ってよ 」








 こんな真っ直ぐな瞳に見つめられてしまえば、私は、首を縦に振るしかなかった。








切っ掛けは雨宿り→←日常に恋のスパイス



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (152 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
410人がお気に入り
設定タグ:QK , QuizKnock , izw
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:朝田 | 作成日時:2020年12月3日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。