迎えもイザワタクシー ページ4
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なんとか平穏無事に目的地まで辿り着き( 走行中に散々プロポーズされたがそれはまぁ毎度のことなので今回はカウントしない )、どこぞのお嬢様ばりに助手席を開けてもらった私は、きちんと社長にお礼を言う。
いくら相手が毎日のように交際と婚約を迫ってくる相手であっても、してくれたことに関してはきちんとお礼を言うべきだろう。
こういう部分が生真面目だと言われる所以なのだろうか。
「 じゃあ買い出し頑張ってきてね 」
「 はい。社長はこの後どうするんですか?またお仕事? 」
「 ん?勿論Aちゃんのこと待ってるけど? 」
「 そんなさも当たり前のように言われましても 」
じゃ、近くのコインパーキングで待ってるから。
そう言って運転席に乗り込んだ彼は、私の言葉を待つことなくそそくさと走り去ってしまう。
人の話を聞かないところはあの人のよくないところだよな、ほんと。
雨も小降りになってきたし、これくらいなら普通に走って帰れると言うのに。
さも当たり前のように私を待つと言っていたが、あの社長だって暇では無いはずだ。
動画の企画であっても三時間予定を開けることが困難なくらいスケジュールは詰め詰めの筈なのに、私を待つ時間だけは必ずある。行動と言うか、社長そのものが不思議だ。
さて、さっさと買うもの買って帰ろう。
「 ちょちょちょ!Aちゃん?!なに勝手に帰ってんの?! 」
「 ……気づくの早すぎて怖いんですけど 」
「 俺の中のAちゃんレーダーが反応したから来てみたらこれだよ。ほら、乗って 」
「 そのAちゃんレーダー性能高すぎません? 」
「 俺のAちゃん愛をナメられたら困るな 」
「 そんなドヤ顔で言うことではないです 」
お目当ての物は手に入れたので社長を無視して帰ろうと思ったのだが、あの人の中に搭載されている『 Aちゃんレーダー 』とやらの性能が良すぎてあっけなくバレた。
ていうか冷静に考えてAちゃんレーダーってなんだ。ネーミングセンス子宮に置いてきてるだろ。
「 まぁなんでも良いけど、早く帰んないと福良さんに怒られるんじゃないの?大丈夫? 」
「 …… 」
それは、確かに。
買い出しを頼まれたとき、福良さんには「 なるべく急ぎでお願いね 」と頼まれていた。
……ここは彼に頼るべきなのかもしれない。
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作者名:朝田 | 作成日時:2020年12月3日 19時