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その登場は予想外 ページ16









 雨雲を見る度、早く梅雨が過ぎ去ってくれないかと願ってしまう。


 本日のバイト(カフェの方)を終え、お店を出るとまた雨が降り注いでいた。
 前回の雨の日はドヤ顔で忍ばせてきた折り畳み傘を出すことが出来たが、今日は普通に忘れた。いくら鞄を探しても無い。可笑しいな。入れた気がするんだけど。

 私の場合、入れた気がするのが本当に『 気がした 』だけの可能性も考えられるので、確証はない。


 周りにはよくしっかりしていると言われるが、こんな姿見られたらそんな考えも改められるんだろうな。幸いまだ社長にしか見られてないけど。







「 Aちゃーん!傘持ってきたぞー! 」
「 はぁ、またですかしゃちょ……って、なにしてんの?! 」








 今日もまたレーダーとやらが反応したのかと思って身構えていたが、まさかの現れたのはびしょ濡れの社長だった。
 いや、意味わからん。そもそもなんでびしょ濡れ?は??貴方一応社長なんだからもう少し自分に気ぃ遣えよ!バカなの?!さてはバカなの?!?


 私が雨宿りしている屋根の下に滑り込んできた社長の手には、一つの黒い傘。傘あるのに何故にびしょ濡れ?ますます彼の行動が意味が分からない。







「 びしょ濡れじゃないですか……!傘あるのになにしてるんですか! 」
「 ははっ、いやぁ、傘差してると走りにくくてさ。途中で閉じちゃった 」
「 閉じちゃった☆じゃないですよ……! 」







 こんな色んな人にとって大事な人に風邪を引かせる訳にはいかない。
 急いでポケットからハンカチを取り出して、まずは顔を拭いていく。なになに、と終始彼は騒いでいたが、構わず拭えるだけの水滴は拭った。

 だが所詮はハンカチ。含める水分量なんてたかが知れていて、彼の髪や服はまだまだ濡れている。



 ……こうなったら、仕方ない。
 元はと言えば、私が彼のレーダーとやらを反応させてしまったのが原因なのだ。

 自分で言ってて意味わかんないけど。
 どう頑張っても意味わかんないけど。


 だったら一先ず、彼を暖めないと。







「 ……あの、社長 」
「 なに? 」
「 ここから社長の自宅って、近いですか? 」
「 いや、こっから車で三十分はかかるかな 」
「 ……だったら、 」
「 うん? 」








 なんでこんな時だけ彼は鈍いんだ。いつもは簡単に私の居場所も、状況も当ててしまうのに。









「 ……うち、来ませんか 」








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作者名:朝田 | 作成日時:2020年12月3日 19時

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