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夏樹side
深夜二時。
こんな夜中に俺の携帯が鳴った。
睡眠を邪魔され、半ば苛立ちながらディスプレイを見ると美森だった。
美森は今日は、Aや玲奈達と南の家に泊まりに行っているはずだ。
若干の胸騒ぎを感じつつ電話にでる。
夏樹「…なんだよ」
美森「もしもし夏樹っ!?今から**病院にきてっ!Aが…っ!!」
夏樹「あ?っAがどうしたっ…!?」
美森「A発作おこしちゃって…っ、吸入させたんだけど治まらなくってっ、今救急車で運ばれたの…っ!」
美森の言葉を聞いて、いてもたってもいられずにジャージ姿のまま上着を羽織り外に飛び出した。
ーーーー
Aの付き添いでなんども来たことのある**病院につけば、顔見知りの受付の看護婦に声をかけられた。
看護婦「夏樹くん!Aちゃんよね?」
夏樹「案内してもらえませんか…!?」
看護婦「ええ、こっちよ」
案内されたのは一般病棟の個室だった。
治療がすべて終わったということで、ちょうど一般病棟に移されたところだったらしい。
中には南たちがいた。
その中心に横たわり目を閉じるA。
そんなAの顔はとても悪く、細い腕には点滴の針が刺さっており痛々しく見えた。
美森「夏樹っ…」
南「…だいぶ落ち着いたわよ、A」
夏樹「そうか、…夜中なのに、手間かけさせたな。俺がついてるから、もう帰っていいぞ」
エミリー「何言ってんの、私達だってAのそばにいてあげたいし」
玲奈「波留たちもこっちに向かってるみたいだよ」
あいつらもか。
椅子をAの元におき、それに座りながらAの手に自分の手を重ねる。
こんな大きな発作、Aと出会ってから初めてのことだった。
Aが搬送されたと聞いたときは、正直心臓が止まるかと思った。
俺の前に横たわるAは、いつも以上に小さく見えて本気で消えてしまいそうだと感じた。
いつも温かい子供体温なAの手も、冷えきっている。
その冷えきった冷たい手を、包むように握り締めた。
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アルム(プロフ) - 今も更新待っています!本当に面白いです! (2021年4月18日 22時) (レス) id: 4726a4adc0 (このIDを非表示/違反報告)
アルム(プロフ) - 今も更新待っています!本当に面白いです! (2021年4月18日 22時) (レス) id: 4726a4adc0 (このIDを非表示/違反報告)
らびっと - この作品が大好きで何回も読み直しています!!何度読んでもキュンキュンします!更新頑張ってください^o^ (2017年6月11日 5時) (レス) id: 9a86f7756f (このIDを非表示/違反報告)
りな☆(プロフ) - すっごく面白いです!更新頑張ってください! (2017年5月14日 3時) (レス) id: f0df852b63 (このIDを非表示/違反報告)
あんじゅ(プロフ) - この作品は、二、三回読んでます!その度にキュンキュンさせてもらってます。ありがとうございます。更新頑張ってください、待ってます。 (2017年5月2日 18時) (レス) id: 095aa0ad59 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みる | 作成日時:2015年2月15日 0時