たとえばこんな、出逢いでも【ky】

イトコですが、何か？ ページ25

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「おーし、着いた。結構広いとこだなー」


駐車場に車を停め、荷物を下ろした。日差しが結構強い。グラウンド横にAさんに渡された椅子を置き、その前にシートを敷きりんを座らせた。りんは早速ぬいぐるみや本を並べ、遊び始めた。

グラウンドで練習する水色のユニフォームの子達の中に、りくを発見した。こっちに気づいて小さく手を振っている。…なまくそ可愛いな。


椅子に座って夏の日差しを浴びながら子供達のサッカーの試合を眺める。足元では、りんがおままごとをしている。…すげえ幸せを感じるオレは、変か？


あ。りくがボールを持った。行け、いいぞ、1人抜いた、そこだ、打て、

キ「あーーーっ！！」

思わずデカい声を出してしまい辺りを気にしてキャップを被り直した。…くそ、惜しかったな、りく。凄えいい角度だったのになあ。相手チーム、かなりラフプレーしてくんなあ。

その後も、小さくてすばしっこいりくは黄色いユニフォームの相手チームに狙われて何度も転ばされた。

キ「くそっ…あの5番、腹立つなあ！りくばっか狙いやがって…審判は何見てんだ、ファウル取れよ！」

ついついアツくなって声が大きくなっては、慌てて黙る。それで目立ってしまったのか、ハーフタイムになって、お茶を飲んでりんと話していると、

『こんにちはー』


声をかけられ緊張感が走った。
…おそるおそる声の方を見ると、女性が手で日差しを避けながらこちらを見ていた。

『りんちゃん、沢山おもちゃあって楽しそうねえ！…りくくんのお父さん、ですか？』


…うっわ。いきなりキタ。心臓がすげえ速さでバクバクしてる。ここで下手打つとAさんの立場が危ない、うまくやらなきゃなんねえ。

キ「いや、あの…父親じゃなくて、従兄弟です、A…の」


脂汗が一気に吹き出す。考えろ、従兄弟だったら…Aさん、は変だよな。やっぱり呼び捨てだよな。変、か？いや変じゃないよな？？てか、あっち行ってくれよもう！

『Aさんの従兄弟？あら、珍しいのね。今日はAさんは来ないんですか？』

キ「あ、後から来ます」


その時、試合が再開したのでオレは試合に集中する意思を見せ会話を終わらせた。…よかった、あっち行ってくれた。…そっか、旦那は試合観に来た事ないから、顔知られてないんだな…さっきの人が、どんな立場の人か判らないからヘタな事は言えねえ…


まさか、同じマンション…？だったら、旦那くらい知ってるよな？どうしよう…Aさん、早く来てくれ…


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