たとえばこんな、出逢いでも【ky】

おじゃまします ページ11

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りん「それでね、りんの島にはね、グミとゆきみがいてね！」

キ「はいはい、こいつらね？」

りん「こいつらって言わないで！おんなのこだよ？」

『こら、りん。お兄さん困ってるよ？』

キ「あ、いや…全然大丈夫っす、楽しいんで」

なし崩し的に家に上がる事になったオレに、Aさんがお茶とお菓子を持ってきてくれた。


『パン、美味しかったですか？』

キ「ああ！凄く美味しかったです！柔らかくて、まだあったかかったし…あ、これ忘れないうちに。本当に助かりました、ありがとうございました」

『ああ、いえ！わざわざすみません、なんか…お金返しに来て頂いただけなのに、引き留めてしまって。ご予定とか…」

キ「いや、なんも！…あ、えっと在宅の仕事なんで、融通効くんすよ！」

つい暇アピールしてしまいそうになり、慌ててフォローを入れた。嘘は言ってない。するとAさんは俯いて、ポツリポツリと話しだした。


『…なんかこないだは…失礼な物言いをしてしまって、ごめんなさい。私自身、小さい頃その…大人の男性にイタズラ、されかけた事があって。トラウマなんです』

キ「そうだったんですね…いや、オレは誤解さえ解ければなんも気にしてないですよ！」


『よかったです…りんには、凄く気を遣ってるんですけど、この子本当に活発で。こないだも、私が頭痛で寝ている間に勝手に家を出てしまって…キヨさんがりんを見つけてくれなかったら、どうなってたか…」

キ「…えっ？？なんで、オレの名前…」

『あ、すみません！りんも、それに息子のりくも、キヨさんの話ばかりするのでつい…馴れ馴れしくてごめんなさい』

キ「いえいえ、全然！むしろ嬉しいです…りくくんも？」

『こないだ、公園で遊んでもらった、今度一緒にウイイレやってもいい？って。キヨはいい人だよ、ママ！俺が保証する！って、ふふっ』

キ「はは…そうだったのかあ」


すっかり心を開いてくれたAさんの柔らかな笑顔に、オレは釘付けになっていた。緩い部屋着から投げ出された白い脚や、その先に塗られたピンクのペディキュアは、禁断の香りも相まってオレを興奮させるに十分だった。

日差しが燦々と降り注ぐ明るいリビング。焦げ茶のソファに白いラグ、棚上に並んだ家族写真の数々。りくとりんが描いたであろう絵が貼られた壁。
どれもオレが憧れる幸せな家族の象徴で、ここにオレが存在する事が酷く不自然に思えた、その時。


「きよー、きよの島にはだれがいるの？きよの島、行ってみたいなー」

りんの幼気な声が沈黙を破った。

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