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「重雲って、Aのこと好きなの?」
「えっ?!なんでそれを…」
「やっぱりそうなんだ。」
パイモンの言う通り、二手に分かれて相手の話を重雲に持ちかけてみた。反応はばっちりだ。
あとは重雲からAの話を聞きだしたい。…この調子なら、少し大胆に動いてもいいのだろうか。
「Aのどんなところを好きになったの?」
「ど、どんなところ…。最初に、誰にでも気遣いを忘れないところを好きになったんだ。その次に仕草が柔らかいところを好きになって、それから…気がついたら、性格も外見も全部…」
「なるほど。俺にもわかるよ、好きな人ってそういうものだよね。でも、確かにAっていつも相手を気遣ってるよね。愛嬌があるし、重雲が好きになるのもわかるかも」
…これは、重雲がAのことをより細かく思い出して今すぐにでも会いたいという気持ちを引き出すための行為だ。…って、パイモンが言ってた。あながち間違いではなかったのかもしれない。
重雲の頬は少し赤い。…第二ステップに移行していいかもしれない。
「それで、この前Aと”二人で”チ虎魚焼きを食べながら話したんだけど…」
「え、」
心が苦しい。でも大丈夫、もう少しの辛抱だ。耐えて重雲…
これは”嫉妬”のステップで、第一ステップでとっかかりを作っておき、それと繋がるような事実を伝えることでさらに不安を煽る、というものらしい。…まったく、パイモンはこういうときだけ頭がまわる。
重雲は、”好きな人ってそういうものだよね”という俺の発言と結び付けて”好きな人ってまさか…”と考えているのだろうか。
「A、重雲の話をしたときに”気遣ってくれる”って言ってた。」
そこにすかさず第三ステップ、”期待”をさせて思考を独占する。
…これ、何かの小説で読んだのだろうか。
それから彼女の話をして歩き、ちょうどいい頃合いでパイモンを迎えに行くからと重雲と別れた。
これで進展がなくても、確かに無駄になるだけで失うものはない。Aとパイモンは上手くいっただろうか。
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「ってことがあったんだけど…Aと重雲って、あの後どうなったんだろうな…」
「なるほど、何かあったのかと思っていたけど君たちだったんだね。やけにいい感じだから不思議に思ってたんだ。」
…どうやら、二人はパイモンの手のひらで踊らされたらしい。
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名無し3680号(プロフ) - まくらもとさん» 読ませていただきました!最高でした。素晴らしいお話ありがとうございます! (2023年3月6日 22時) (レス) @page34 id: be46167942 (このIDを非表示/違反報告)
まくらもと(プロフ) - 名無し3680号さん» 遅くなってしまってすみません。書き上げましたのでレス失礼します。書いてて「これでいいのか?」と悩んだんですが、まくらもとらしさを重視してそのまま投稿しました。ちょっと長いんですがよろしくお願いします〜 (2023年3月6日 21時) (レス) id: b517cf66d5 (このIDを非表示/違反報告)
まくらもと(プロフ) - 名無し3680号さん» リクエストありがとうございます!!3.5の風花祭での登場もあると思いますし、ブリュー祭を振り返って想像を膨らませながら書いてみますのでお待ち下さいな。いつもありがとうございます! (2023年2月27日 16時) (レス) id: b517cf66d5 (このIDを非表示/違反報告)
名無し3680号(プロフ) - リクエスト宜しいでしょうか?ミカ君で夢主と事故キスする話しなど書けますでしょうか?いつも楽しく読ませていただいております! (2023年2月26日 22時) (レス) id: be46167942 (このIDを非表示/違反報告)
まくらもと(プロフ) - ルーナさん» 好きじゃなかったら絶対「いつか旅に出られるといいね」としか言わなかったと思います。衝動で動いちゃう空ほんと… (2022年9月27日 22時) (レス) id: cfa18e3d30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まくらもと | 作成日時:2022年9月27日 1時