気の利きすぎた助手 / ティナリ ページ7
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「………」
レンジャー長・ティナリは、今とても集中していて周りの音の一つもきこえていない。
つまるところ、私の出番だ。
私は彼の助手のようなもので、彼の助けになることが全て。そのためなら一人で死域に入ることも厭わない。
まず、彼のために外の仕事は全て片付けておこう。…とはいえ、今日はスケジュールにそれほど外の仕事は多く入っていないはずだから、子どもを相手にするならコレイに任せて、彼が観察対象にするであろう植物を採取して戻れば、わざわざ集中を解いて採りに出かける必要もなくなるはずだ。
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「いやまあ、キノコンを片付けることになるとは思わなかったけど…」
ついでにごはんにする安全なキノコを採取しようとしたら、まさか魔物…というにはちょっと可愛いんだけど、キノコンに遭遇するとは。
まあいい、大幅な時間ロスになったけど彼のことだからまだ集中して取り組んでいるに違いない。このまま帰って身のまわりのことを片付けるとしよう。
掃除して、ご飯作って、それから…
考え事をしながら歩けばあっという間だ。ティナリは…よかった、何事もなかったみたい。
「飲み物…」
よく見るとティナリの飲んでいた飲み物が空っぽであることに気がついた。
そういえば、この前”夕暮れベリーティー”という飲み物を旅人くんに教えてもらった。作業には糖分も必要だろうし、それを作ろうか。
実は私が気に入ってティナリにも飲んでもらいたい…つまり、美味しいものを共有したいというのもある。ということで、私の分も作った。これ本当に美味しいから…。
彼のもとにそれを持っていくと、彼は自分の腕を枕にして寝ていた。
きっと忙しい日が続いて疲れてたんだ。毛布を掛けてあげた。私の力ではティナリをベッドまで運べないから。
「…今日はティナリの好きなキノコ料理にしよう。そのために採ってきたから。」
「……」
「今日はもう休もう」
聞いてもいない彼の隣で夕暮れベリーティーを飲みながら話しかける。
「もう全部やっておいたからゆっくりしてね」
「…全部?」
「あれ、起きてたの?」
外の仕事は全部済ませておいたと言うと、彼は蕩けた瞳でこちらを見て固まっていた。
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名無し3680号(プロフ) - まくらもとさん» 読ませていただきました!最高でした。素晴らしいお話ありがとうございます! (2023年3月6日 22時) (レス) @page34 id: be46167942 (このIDを非表示/違反報告)
まくらもと(プロフ) - 名無し3680号さん» 遅くなってしまってすみません。書き上げましたのでレス失礼します。書いてて「これでいいのか?」と悩んだんですが、まくらもとらしさを重視してそのまま投稿しました。ちょっと長いんですがよろしくお願いします〜 (2023年3月6日 21時) (レス) id: b517cf66d5 (このIDを非表示/違反報告)
まくらもと(プロフ) - 名無し3680号さん» リクエストありがとうございます!!3.5の風花祭での登場もあると思いますし、ブリュー祭を振り返って想像を膨らませながら書いてみますのでお待ち下さいな。いつもありがとうございます! (2023年2月27日 16時) (レス) id: b517cf66d5 (このIDを非表示/違反報告)
名無し3680号(プロフ) - リクエスト宜しいでしょうか?ミカ君で夢主と事故キスする話しなど書けますでしょうか?いつも楽しく読ませていただいております! (2023年2月26日 22時) (レス) id: be46167942 (このIDを非表示/違反報告)
まくらもと(プロフ) - ルーナさん» 好きじゃなかったら絶対「いつか旅に出られるといいね」としか言わなかったと思います。衝動で動いちゃう空ほんと… (2022年9月27日 22時) (レス) id: cfa18e3d30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まくらもと | 作成日時:2022年9月27日 1時