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「待ち合わせ場所に瑠璃亭を指定するとはびっくりだな…」
そういえば、空が”タルタリヤとごはんと言えば瑠璃亭”と言っていた。…高いものはあまり食べる気がしないんだが。
前に立っていた女性に中に通してもらった。瑠璃亭には初めて来たが…うむ。豪華だ。一体いくらかけているのだろう。
「…来たね」
「こんにちは。初めまして、私はAと申します、しがない旅人です。本日は【公子】殿にお会いできて光栄だ、…こほん、です」
「ははは!俺は【公子】タルタリヤだ。さあ、座って。話をしよう」
やらかしかけたがなんとか誤魔化した。うむ、これで少しは平蔵にも近づいただろう。…土産話にしたら笑われるだろうか。
「それで、今日は俺に何の用なのかな?」
「………えー、と。ふう、今日はタルタリヤ殿に折り入ってお願いが…」
「なんだい?」
さあ、言うんだ。恥ずかしがってはいけない。でないとなんのために璃月まで来たんだという話だ。
息を吸い、目を閉じて、精神をそれ一点に集中させたのち、私はそれを放った。
「…おかね、かしてください」
「………ん?」
「おかねにこまってます。かしてください」
…ああ、これは思考停止している。気まずい。
「い、いや、モラなら北国銀行で借りれば良かったじゃないか。どうしてわざわざ俺を呼んで、俺に借りるなんて」
「だ、だって銀行は返済期限があるじゃないか!それよりも個人に借りるほうが融通が利くだろう?!」
「というかなんで俺?もっと身近に借りられそうな人はいなかったのか?!」
「いたが!マシュとか神里家とか!しかし彼らは…」
「散兵のことマシュなんて呼んで許されてるのか?!」
…大混乱である。私も少し興奮してしまった。
化けの皮が剝がれてしまったが、もういいだろう。
「とにかくかしてほしい…刀買えないよおおおおおお」
「お、落ち着くんだ!かす、かすから!!」
「本当か?!」
必死にやったおかげでなんとか折れてくれた。やっぱり話のわかる人間だったようだ。
「タルタリヤ!この恩は忘れない。今日から私たちは”心の友”だ!」
「はは、いいね!」
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「てな感じで借りたお金は、この通り少しずつ返してるんだ」
「…へー。わざわざ璃月まで行くとかほんとバカだね。僕に言えばよかったじゃないか」
”また今度会いに行く”としたためた文とモラ。
…返事はいつだろうか?
気の利きすぎた助手 / ティナリ→←歩くモラ袋 / タルタリヤ
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名無し3680号(プロフ) - まくらもとさん» 読ませていただきました!最高でした。素晴らしいお話ありがとうございます! (2023年3月6日 22時) (レス) @page34 id: be46167942 (このIDを非表示/違反報告)
まくらもと(プロフ) - 名無し3680号さん» 遅くなってしまってすみません。書き上げましたのでレス失礼します。書いてて「これでいいのか?」と悩んだんですが、まくらもとらしさを重視してそのまま投稿しました。ちょっと長いんですがよろしくお願いします〜 (2023年3月6日 21時) (レス) id: b517cf66d5 (このIDを非表示/違反報告)
まくらもと(プロフ) - 名無し3680号さん» リクエストありがとうございます!!3.5の風花祭での登場もあると思いますし、ブリュー祭を振り返って想像を膨らませながら書いてみますのでお待ち下さいな。いつもありがとうございます! (2023年2月27日 16時) (レス) id: b517cf66d5 (このIDを非表示/違反報告)
名無し3680号(プロフ) - リクエスト宜しいでしょうか?ミカ君で夢主と事故キスする話しなど書けますでしょうか?いつも楽しく読ませていただいております! (2023年2月26日 22時) (レス) id: be46167942 (このIDを非表示/違反報告)
まくらもと(プロフ) - ルーナさん» 好きじゃなかったら絶対「いつか旅に出られるといいね」としか言わなかったと思います。衝動で動いちゃう空ほんと… (2022年9月27日 22時) (レス) id: cfa18e3d30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まくらもと | 作成日時:2022年9月27日 1時