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そんなことを言いつつも、一応普段の言動を振り返ってみた。
正直、心当たりはなく。
「たとえば…エラ・マスク。君は自分から彼女の研究を手伝ってたし、かと思えばガイアの仕事を妨害してたよね」
「なんで知ってるのかな」
それに、とここ最近の出来事を並べはじめた。
私にとってはただの日常だから、これが自由に該当するならクレーはどうなるんだ?と純粋に思ってしまった。
「…モンドの人々はみんな自由だ」
「自由の国だしね」
「その中でも、面白いことをよくする人は自由の在り方が変わってると思うでしょ?君やクレーは、そういう層なんだよ」
クレーと私が同類と言われると理解しがたいけど、なんでかちょっと説得力があった。
「僕にとって、君はモンド…いや、テイワットの"自由の象徴"だよ」
笑いかける表情がいつにもまして優しかったので、私は何も言わなかった。
「ずっと考えてたんだ。君のことを歌うなら、どう詩にすればいいんだろうってね」
風が頭上を吹いて、葉が乗る。
それを取って、いたずらするように笑うと、それはいつの間にかどこかに消えた。
ライアーの弦が光る。
「今のAを見て、欠けていたものがやっと揃った」
私と目を合わせては、確信をもった表情で語る。
「自由の形はそれぞれ違う。こうあるべきとか、僕や他人の自由を押しつけちゃいけない。ただ、一つだけ言えるのは、本当の自由は美しいものだってことだ」
汚れたものは自由とは呼べない。自由を盾に悪事を働くようなことはあってはならない。
「君という自由の象徴は、何よりも美しいんだ」
難しい話だね。
それを言う前に、ウェンティは"僕にとってね"ともう一度だけ言って腰を上げた。
「この詩は、もうしばらくの間は誰にもきかせないことにするよ。…けど、そのときになったら君に一番にきいてほしい」
「うん、楽しみにしてるよ」
「えへ、それじゃあ忘れないでよね」
風が吹いて、風車アスターがくるくる回っている。
自由の詩。象徴をもとにした、へんてこで美しい物語だという。
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名無し3680号(プロフ) - まくらもとさん» 読ませていただきました!最高でした。素晴らしいお話ありがとうございます! (2023年3月6日 22時) (レス) @page34 id: be46167942 (このIDを非表示/違反報告)
まくらもと(プロフ) - 名無し3680号さん» 遅くなってしまってすみません。書き上げましたのでレス失礼します。書いてて「これでいいのか?」と悩んだんですが、まくらもとらしさを重視してそのまま投稿しました。ちょっと長いんですがよろしくお願いします〜 (2023年3月6日 21時) (レス) id: b517cf66d5 (このIDを非表示/違反報告)
まくらもと(プロフ) - 名無し3680号さん» リクエストありがとうございます!!3.5の風花祭での登場もあると思いますし、ブリュー祭を振り返って想像を膨らませながら書いてみますのでお待ち下さいな。いつもありがとうございます! (2023年2月27日 16時) (レス) id: b517cf66d5 (このIDを非表示/違反報告)
名無し3680号(プロフ) - リクエスト宜しいでしょうか?ミカ君で夢主と事故キスする話しなど書けますでしょうか?いつも楽しく読ませていただいております! (2023年2月26日 22時) (レス) id: be46167942 (このIDを非表示/違反報告)
まくらもと(プロフ) - ルーナさん» 好きじゃなかったら絶対「いつか旅に出られるといいね」としか言わなかったと思います。衝動で動いちゃう空ほんと… (2022年9月27日 22時) (レス) id: cfa18e3d30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まくらもと | 作成日時:2022年9月27日 1時