強面 / セノ ページ16
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「…どうしよう、出れないや…」
「裏口から逃げたらどうだ?ちょうどシティのほうに買いに行かなきゃいけないものあっただろ?」
コレイと隠れる。正面出口を進めば、確実に彼らに気づかれることだろう。
まあ半ばコレイを巻き込んだ、と言っても過言じゃないけど、独りぼっちで逃げるのは少し心細い。
…とはいえ、ここから先は私一人で逃亡を成功させなければいけない。
「気をつけろよ、死域に入っても処理できなかったらすぐ出ろよ?」
「大丈夫、魔物にも気を付けて最短ルートでシティに行くよ。それからグランドバザールで時間稼ぎしようと思う」
いってらっしゃい、と手を振るコレイに軽く返して、裏の出口から静かにそこを出た。
私がここまでして”逃げる”のには理由がある。それは紛れもなく、さっきティナ、
「A、どこに行くの?」
あっ。
「いや、シティに買い出し…」
「そう。…やっぱ僕も着いて行った方が」
「死域に負けを認めましょう。魔物を視界に捉えたらすぐ逃げましょう。怪しい商人は無視しましょう。宝盗団およびエルマイト旅団に襲われたときは空宅の通行証を叩きましょう。キノコは食べません。」
「………」
「門限は日落ち前までです。」
少し考えるティナリ。まあ別に、”やっぱダメ。僕が行くから君はここにいて”と言われても問題ない。重大な要因はティナリではなく他にある。…そう、もう一度言い直すようだけどさっきティナリと話していたセ、
「ティナリ、元素力を込めたが次は何を、………お前は」
ノさ、ん……
「ひっっ、あ、えと、あ、ここここんにちは!!」
鳥肌。冷や汗。頭は真っ白。
一歩後ろに引いてしまった私を不思議そうな目で見る彼と、どんな感情なのかよくわからない表情のティナリ。余計に怖かった。
私はセノさんが怖い。
その鋭い眼光。また彼の”吐かせる”過程を見てしまったから初対面の時から怖くて近づけなくなってしまった。
「…A、大丈夫だよ」
「はあ、ううううううううううううううううううう」
「あーーーもう、大丈夫だってば」
そうは言うけどティナリ、ほんとに怖いって。
涙さえ浮かんできた。ティナリは体を揺らして私をあやすけど、それすらもはや意味がなかった。
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名無し3680号(プロフ) - まくらもとさん» 読ませていただきました!最高でした。素晴らしいお話ありがとうございます! (2023年3月6日 22時) (レス) @page34 id: be46167942 (このIDを非表示/違反報告)
まくらもと(プロフ) - 名無し3680号さん» 遅くなってしまってすみません。書き上げましたのでレス失礼します。書いてて「これでいいのか?」と悩んだんですが、まくらもとらしさを重視してそのまま投稿しました。ちょっと長いんですがよろしくお願いします〜 (2023年3月6日 21時) (レス) id: b517cf66d5 (このIDを非表示/違反報告)
まくらもと(プロフ) - 名無し3680号さん» リクエストありがとうございます!!3.5の風花祭での登場もあると思いますし、ブリュー祭を振り返って想像を膨らませながら書いてみますのでお待ち下さいな。いつもありがとうございます! (2023年2月27日 16時) (レス) id: b517cf66d5 (このIDを非表示/違反報告)
名無し3680号(プロフ) - リクエスト宜しいでしょうか?ミカ君で夢主と事故キスする話しなど書けますでしょうか?いつも楽しく読ませていただいております! (2023年2月26日 22時) (レス) id: be46167942 (このIDを非表示/違反報告)
まくらもと(プロフ) - ルーナさん» 好きじゃなかったら絶対「いつか旅に出られるといいね」としか言わなかったと思います。衝動で動いちゃう空ほんと… (2022年9月27日 22時) (レス) id: cfa18e3d30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まくらもと | 作成日時:2022年9月27日 1時