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ページ33

一条side

京極組に凄まじく貢献している大先輩、源十郎の話を聞いて一条は純粋に驚き、何よりもショックを受けていた。
病院に着くと目に涙をためたAが待っていた。

「あ、兄貴…」

一条「待たせて悪い。着替えを取りに行こう。」

「すみません…ありがとうございますっ…」

本当はすぐにでも辛かったな、と抱き締めたい。泣いてもいいと言ってやりたい。だが今は優先事項を先に片付けるべきだ。一条は下唇を噛みしめるAをチラリと見つつ、その衝動をぐっと堪えていた。

これまで女の涙なんて沢山見てきた。職業柄命乞いや怯え、嘆き悲しむ涙を流す男も女も見てきたし、男を落とすテクニックとして涙を使う女もいた。
もしもこの気持ちが身内愛と言うならば、同期の清水の悲しげな顔も見ていて堪えるものはあったが、それを抱き締めたいとは思わなかった。故にこれをただの身内愛とも言い辛かった。

ふと自分の中で小さく聞こえる声に耳を傾けた。

一条(…嗚呼、そうか…。27歳にもなって情けねぇな…。)

家につき、荷造りを手伝い、再び病院へと向かい、また家にAを送っていく。道中ずっと泣き出しそうな顔で何度もすみませんと頭を下げるAの頭をくしゃりと無言で撫でる。

抱き締めたい衝動を抑えるように、車のハンドルを握る手に思わずグッと力がこもる。

一条(そうだ、Aの涙を見て抱き締めたいと思うのも、心苦しくなるのも…ここまで来てたら兄貴分としてってだけじゃねぇな。そんなもん言い訳じゃねぇか…)

気付いてしまったその気持ちはブレーキが存在しないかのように一人歩きを始めていた。

Episode10 葛藤→←・ ※シリアス



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ひなえ(プロフ) - 黄昏さん» 読んでいただき、ありがとうございます!亀更新ですがこれからもよろしくお願いします。 (2022年7月6日 14時) (レス) id: a16a1e4961 (このIDを非表示/違反報告)
黄昏 - 初めまして、「私、気が付いたら極道でした」を読ませて頂きました。とても、面白くて続編を楽しみにお待ちしております。 (2022年7月6日 3時) (レス) @page26 id: 7ec4680236 (このIDを非表示/違反報告)
みたぞの(プロフ) - オリ/フラ立ってますよ!!続編作ってもフラグのチェックが入ってしまいます!!確認して外して下さいね!! (2022年6月29日 22時) (レス) id: 5dcad8042f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひなえ | 作成日時:2022年6月29日 18時

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