・ ページ17
消え入りそうな源十郎の声にAはその場で足を止め、思わず会話に聞き入る。
源十郎「万一あの子が結婚したいと言っても、カタギの男は女が極道絡みと知れば離れていくばかりだろうしな…。」
一条「極道とカタギの結婚はリスクだらけですからね…」
源十郎「いっそ一条くん、孫を嫁にもらってくれんか。」
一条、A「!?」
一条「え、えっと…」
これにはさすがの一条も言葉に詰まる。9歳も離れている中学生のことを話されてるのだから無理もない。
(何言ってるの!?兄貴困ってるじゃん!)
源十郎「何、無理にとは言わん。本人同士で決めることだ。だが…あの子を気にかけることだけはしてあげてほしいんだ。」
(ほっ…)
一条「…源十郎殿。俺はまだ未熟者ですよ。それに妹分ですから、気に掛けるのは当然です。」
源十郎「…ありがとう、一条くん。あの子ももうじき2年生か…早いなぁ。あとどれくらいあの子の成長を見届けられるか…」
一条「まだまだお元気じゃないですか。そんな弱気なこと仰らないでください」
あまり長くトイレに籠もっていると思われたくもなかったのできりのいいところで、Aは何も聞こえていなかったふりをして部屋に入る。
「…戻りましたぁ。」
一条「あ、じゃあ続きやろうか」
変わらぬ様子で一条はAを迎え、剣術を教わっていく。
Aはひたすらに剣を振り続け、打ち込み、血豆がたくさん出来ては潰れていた。
一条は休憩の際に眠ってしまったAの握っていた模造刀の柄に付着した血液を見て、Aの血豆だらけの手にそっと触れた。
一条「大きくなったなぁ…」
そう言って一人そっと微笑んだ。
21人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひなえ(プロフ) - 黄昏さん» 読んでいただき、ありがとうございます!亀更新ですがこれからもよろしくお願いします。 (2022年7月6日 14時) (レス) id: a16a1e4961 (このIDを非表示/違反報告)
黄昏 - 初めまして、「私、気が付いたら極道でした」を読ませて頂きました。とても、面白くて続編を楽しみにお待ちしております。 (2022年7月6日 3時) (レス) @page26 id: 7ec4680236 (このIDを非表示/違反報告)
みたぞの(プロフ) - オリ/フラ立ってますよ!!続編作ってもフラグのチェックが入ってしまいます!!確認して外して下さいね!! (2022年6月29日 22時) (レス) id: 5dcad8042f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ひなえ | 作成日時:2022年6月29日 18時