私にも守れたら (ページ1)

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1話ページ1

今から4年くらい前の頃、三門市に住んでいた私だったが、大規模侵攻によって心配性な両親に連れられ、隣町へ越していった。

今でもその街に住んでいるが、何の変哲もなく、つまらない日々が続いていた。

中学は同じ街にある少し遠い女子校に電車で通っていた。

当時中学1年だった私は、いつものように、学校へ行くために電車に揺られながら、携帯を見ていると、とある記事が目にとまった。

“ボーダー”

あの時の大規模侵攻から、規模を広げている組織。
その時私は頭に映像のように記憶が流れてきた。

街の人々が目の前で死んでしまう記憶。

瓦礫などの下敷きになって死んでしまった街の人達。そんな光景に泣き続ける私を必死になだめてくれていた母の事も覚えている。

幸い、父は出張で三門市にはおらず、母も軽症で済んでいたが、きっと、家族や大切な人を失った人は多いだろう。

ボーダーの記事を見て思った。

私にも、人を救えるのか。

大切な人を失った人はたくさんいる。その人達は今でも笑えているのだろうか。
二度とそんな人達を増やさないように、私にできる事はあるだろうか。

そんな事を思いながら、気づけば私は、
ボーダーの試験の詳細をクリックしていた。

あの時ボーダーに入ると決断し、入隊してから2年、B級フリーという立場にいる私は、

人を笑顔にできているのだろうか。

―――――

「門？警戒区域の外なのに…」

たまたま近くで防衛任務していると、突然門が開き、トリオン兵が出てきた。

すかさずメイントリガーの孤月を出し、トリオン兵の目の部分を壊した。

トリオン兵からトリオンが出て、動かなくなったのを確認をし、本部へ連絡を入れようとする。
これがイレギュラーゲートってやつか…。

「(なんでこんな所に門が、誘導装置が作動していない…？)」

「おーい！Aちゃーん！」

動かなくなったトリオン兵を見つめ考えていると、遠くから明るい声が聞こえる。

「茜」

声をかけてきたのは合同で防衛任務をしていた那須隊の茜だった。
門の近くにいた私を心配して駆けつけてくれたらしい。

「大丈夫…そうだね！いきなりだったからビックリしたよ〜」

「大丈夫、ありがとう。茜」

いえいえ！とニコニコ笑う茜に私も微笑む。

「にしても警戒区域外で門が開くなんてね〜」

「うん、那須さん達にも伝えないとね」

「そだね！じゃあ早く先輩たちのトコ行こ！」

「うん」

少し疑問に思いながらも、駆け出した茜についていった。