【ヒプマイ】君と。【短編集】

碧棺左馬刻 / それでも男だから ☆ ページ4

どうも可笑しい。


事務所の奴等が妙にそわそわしている。


もどかしさで苛々しているところに、男が一人駆け寄ってきて、耳打ちする。


「さ、左馬刻さんっ、や、ヤバい、ですっ…！！」


「あ¨？何がだよ」


ギロリと睨んでそう言えば、ビクリと固まりながら、震えている口を動かす。


「あ、あの、左馬刻さんの、彼女さんが、そのっ……」


……………


何時も銃兎や理鶯と集まる部屋ではなく、俺の個人的な部屋の前に立つ。


本来其処に俺が帰ってくるまでの見張りをさせている奴は、俺の命令で既に居ない。


つまり、ここ周辺には俺しか居ない筈だ。勿論、部屋の中に入るなんて、俺を含め、合鍵を持たせてあるA以外出来ない。


だからこそ、だ。


部屋の中から聞こえてくる甘い声に、顔がひきつるのが分かる。


信じたくないのに、信じる他ない現実が、そこにある。


意を決して、ドアノブに手をかける。


と。


「さ、ま、ときぃ……っ…」


ハッキリと聞こえたそいつの声に、グッと奥歯を噛み締める。


「(マジかよ……っ)」


やはり、撤退させておいて正解だったと思いながら、扉を開ける。


「は、ぁっ……！…っ、さ、まとき…っ、ん、っう…」


「てめェ………なんて格好してやがんだよ……っ」


甘ったるい声で喘ぎながら、股を開くAに、先程よりも口がひきつるのが分かる。


「っあ、あっ……んっ、は、あっ」


「っ、てめ、おいっ…！」


俺を見たのにも関わらず……いや、俺を見たからか、一度止めたものを動かし始める。


「(副作用って……これは、ねェだろ………っ！！！)」

・・→←・・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す