【ヒプマイ】君と。【短編集】

観音坂独歩/眠り姫 ページ22

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今日も今日とて何も変わらない1日。

会社へと向かう社会人たちの波にもまれながら通勤快速に乗り込み、満員電車の中スマホに流れてくるニュースを一通り眺める。

｢(通り魔なんて居るんだな…)｣

『次は〜…』

車内アナウンスが流れ、スマホをカバンにしまい、｢すみません、すみません、降ります｣と人を掻き分けて電車を降りる。

息苦しかった呼吸を整えて、改札を抜け暫く歩いた先にある会社へと入る。

｢あ…独歩さん。おはようございます｣

｢あ………おはよう、ございます｣

エレベータの前に立っていると、隣に来た女性に声をかけられる。

｢ふふっ、独歩さん、緊張してるんですか、？｣

｢い、や…その、すみません、｣

｢え、いや……えっと、何に謝られてるんでしょう、私…｣

｢っ、す、すみません、！…じゃ、なくて、えと…｣

慌てる俺に、眠たげな目を柔らかく曲げて笑みを浮かべ｢独歩さん、やっぱり面白いです｣と言う彼女に、心臓が大きく鳴る。

エレベーターに乗り込んで、訪れた沈黙にひたすら彼女との空間に対して緊張し続けていると、横に立つ彼女が一瞬グラッと揺れる。

｢あ、あの、大丈__｣

大丈夫ですか。

そう聞き終わる前に、彼女は俺の方に倒れてくる。

｢っ！？ちょ、Aさんっ！？｣

驚きすぎた俺は、彼女の方を抱き顔を覗く。

視界に映った彼女の顔をよく見ると、少しだけ眉間に眉を寄せながら目を固く閉じていた。

｢！？？｣

声にならない驚きに、『〇階です、』という無機質な声で我に返っては、恐る恐る彼女を抱き上げて、とりあえず、オフィスへと向かった。


………

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