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中に入ってきては真っ直ぐ私たちの席に向かってくる一郎くんに気づいた左馬刻さんが、眉を顰めた。
「なんでてめぇがここにいんだよ、あ゙?」
「それはこっちの台詞だ、なんであんたがAと一緒にいんだよ」
ピリッとした空気感に一瞬として包まれたこの空間。一触即発な状態で睨み合う2人に何も言えない。
暫くの沈黙のあと、先に口を開いたのは一郎くんだった。
「A、どういうことか説明してくれるか?」
「あ、うん…」
左馬刻さんに向ける瞳とは別の優しい声音で話しかけてくる一郎くんに抗えず(そもそも抗う気は無いけど…)今日の経緯を伝える。
学校帰りにチンピラに絡まれていたところを通りがかった左馬刻さんに助けてもらったこと。
それをきっかけに、MTCのみなさんや合歓ちゃんと仲良くなったこと。
助けてもらったそのお礼として今日、出かけたことを伝えると、険しかった一郎くんの顔が、段々と緩んでいくのが分かった。
「…なんだ、付き合ってるとか、そういうんじゃねぇのな…」
ホッとため息をついた一郎くんに、左馬刻さんの眉がぴくりと動く。
「てめぇが来さえしなきゃ、Aは俺の女だったんだがなぁ、」
「は…?」
挑発するようにそう言って笑った左馬刻さんに、再び顔を強ばらせた一郎くん。
「合歓もAを気に入ってるし、あいつらだって例外じゃねぇ。それに…1番に、俺がこいつのことを愛しちまってるからなぁ」
「わ、っ」
そう言いながら立ち上がった左馬刻さんが、私の席の方に来ては、優しく腕を引き立ち上がらせ、私の体をそのまま抱き寄せる。
「っ、おま、え……」
「A、今日ずっと思ってたんだが…」
左馬刻さんが私の頬に指を擦り付けると、一郎くんの顔が今にも殴りかかりそうな顔に変わる。
「その服装も、髪型も、化粧も…俺のために妹と用意してくれたんだろ…?…すっげぇ可愛い」
愛おしそうに私の頭を撫で、柔らかい笑みを浮かべる左馬刻さんに、ドキリと胸が鳴る。
「A、俺の女になれよ……好きだ…」
物憂げな瞳に私を映しながらそうはっきり言う左馬刻さん。
「なに、してんだよ!」
今まで黙ってた一郎くんが私の腕をとって左馬刻さんから引き剥がす。
「お、俺の方が、!Aのこと知ってる!それに…俺はっ、ずっと!!Aが、好きで!!」
「おーおー、必死だなぁ…?」
余裕のある笑みを浮かべながら一郎くんを睨む左馬刻さん。
………
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星妻桜@姉妹同盟(プロフ) - 主の心を俳句に 好きすぎる 推しイケメンか 無理しんど (2020年9月17日 2時) (レス) id: fe16128dce (このIDを非表示/違反報告)
おやたぬき(プロフ) - 綾海さん» 了解です!リクエストありがとうございます!!さては寂雷先生推しですか??()遅くなりますが、気長にお待ちください! (2019年2月20日 22時) (レス) id: 42caa9770f (このIDを非表示/違反報告)
月華姫(プロフ) - こんばんわ!リク受付ありがとうございますm(__)mはい!完成ゆっくり楽しみにお待ちしています♪おやたぬき様のペースで此れからも頑張ってください!!ではまたっ (2019年2月20日 21時) (レス) id: 8c63610ac2 (このIDを非表示/違反報告)
おやたぬき(プロフ) - 月華姫さん» 了解しました!!遅くなってしまうかもしれませんが、気長に待っていただけると嬉しいです!リクエストありがとうございます!! (2019年2月20日 21時) (レス) id: 42caa9770f (このIDを非表示/違反報告)
綾海(プロフ) - リクエストで、交通事故でPDSDになってしまった夢主(寂雷先生の年の離れた妹)と寂雷先生のお話がみたいです。 (2019年2月18日 20時) (レス) id: ba228ed2f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おやたぬき | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/sakuhi/
作成日時:2018年9月27日 21時