神宮寺寂雷 / 心配させないでくれ ページ14
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やらかした。
確実にやらかした。
私の机や部屋の床、ベッドの上に散乱したフリフリのメイド服。
そして家のリビングにかけてある振り子時計の時を報せる鐘の音。
現在、月曜日の午前0時丁度である。
「うあああ!私のバカっ!!」
こうなった事の発端は昨日の夕方。
明日…いや、もうすでに今日なのだが、月曜日から開催される高校のビッグイベントの一つである、文化祭。
私のクラスでは御奉仕という名の、メイド喫茶をするのだけれど、その衣装を縫いあわせている。
しかもメイド役の人数の半分。
『Aっ!!助けて!!』
『なに〜?』
『メイド服のレース!解れたあ!!』
『は……』
『お願いっ!衣装係みんな帰っちゃって、私しかいなくて…届けてやってもらおうにも家分かんないんだ!』
『え……で?』
『冷たいぞ!!お願いっ!半分手伝って!!』
とか言いやがって彼奴。
無理矢理押し付けられてさあ。
ったく。別に裁縫嫌いじゃないし、っつか、にぃに教えて貰ってたから得意だけど…。
「レースとか、無理だった……」
そう、レースを着けるのだけは苦手なのだ。
案の定、手に針をぶすぶす刺しながらやっと押し付けられたものの半分が終わったところ。
「いいや…とりあえず、なんか飲み物…」
鏡を見たら目が死んでるだろうな。
針を針山に指して、縫い終わった服をベッドの上に放り投げる。
階段を下りてリビングに向かうと
「(あれ、まだ電気ついてる?)」
消えていると思っていたリビングの電気が漏れているのに気づいて静かに入ると、
ダイニングテーブルでパソコンとにらめっこしているにぃが居た。
「おや、Aまだ起きていたんだ」
「うん、明日の文化祭で使う服の手伝いで…」
私に気づいて顔を上げ、優しく微笑んだにぃの顔を見ながらそう呟く。
「頼られてるのかな?頑張りすぎは体に毒だからね」
にこにこしながらパソコンの方に顔を戻したにぃ。
「(にぃも人のこと言えませんよ〜っと)」
冷蔵庫を開けて飲み物を取ろうと手を伸ばした時だった。
「っ…」
「A?」
ふらりとバランスを崩して近くにあった椅子の背もたれに手をつけば、にぃが心配そうに此方を振り向く。
「大丈夫、ちょっと疲れてんのかなー?」
「…」
ごまかすように笑えば、難しい顔で私を黙って見つめる。
「(だって…)」
…
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星妻桜@姉妹同盟(プロフ) - 主の心を俳句に 好きすぎる 推しイケメンか 無理しんど (2020年9月17日 2時) (レス) id: fe16128dce (このIDを非表示/違反報告)
おやたぬき(プロフ) - 綾海さん» 了解です!リクエストありがとうございます!!さては寂雷先生推しですか??()遅くなりますが、気長にお待ちください! (2019年2月20日 22時) (レス) id: 42caa9770f (このIDを非表示/違反報告)
月華姫(プロフ) - こんばんわ!リク受付ありがとうございますm(__)mはい!完成ゆっくり楽しみにお待ちしています♪おやたぬき様のペースで此れからも頑張ってください!!ではまたっ (2019年2月20日 21時) (レス) id: 8c63610ac2 (このIDを非表示/違反報告)
おやたぬき(プロフ) - 月華姫さん» 了解しました!!遅くなってしまうかもしれませんが、気長に待っていただけると嬉しいです!リクエストありがとうございます!! (2019年2月20日 21時) (レス) id: 42caa9770f (このIDを非表示/違反報告)
綾海(プロフ) - リクエストで、交通事故でPDSDになってしまった夢主(寂雷先生の年の離れた妹)と寂雷先生のお話がみたいです。 (2019年2月18日 20時) (レス) id: ba228ed2f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おやたぬき | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/sakuhi/
作成日時:2018年9月27日 21時