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旅館の一角、和を演出する鈍い金色の襖が特徴的な司令室。
本来旅に疲れた旅行客に癒しを提供するために作られたその部屋は今、癒しとは対極の緊張状態にあった。

「…ひとまず、対処するべき問題は3つだ」
美影が情報の整理用に立ち上げたノートパソコンの処理音にかぶせるように確認すれば、ちゃぶ台越しに2つの顔が頷いた。
「勿論、瀬川さんの行方ですね」
廣瀬が勢いよく人差し指を立てる。
「つぎは、殺人じけんのしん犯人、だね」
楔埜がピースサインを作ると、
「最後に、仕掛けられたという爆弾だ」
美影が親指と小指で空気を摘むように、指を3本立てた。

「まず、瀬川君の行方について。これは先刻楔埜くんが見てくれたね」
楔埜は頷く。
「やまの、がけのした、かな。ちとせの鯉さんは、びゅーん!ってうごく鯉さんじゃないから、たぶんまだ、ちかくにいるよ」
平時と変わらない穏やかな口調で話す楔埜。
幾分か廣瀬の肩の力が抜け、声を伴わない溜息が漏れたのがわかった。楔埜が帰ってきてから何度も確認したというのに、やはりまだ信じ切れていない部分があったのだろうか。
「早く、早く迎えに行かないと…」
逸る気持ちを煮詰めたような、微かに震えを含んだ声で呟く廣瀬を、美影は宥める。
「落ち着きたまえ。瀬川君が生きている以上、私達から逃げるようなことはないよ」
「…はい」
口ではそう返したものの、血の気の引いた廣瀬の顔からはありありと不安と焦燥の色が見てとれた。
思えば、今回の件は廣瀬にとって初めての事件だ。少々硬くなるのも仕方がない。
とすれば、緊張を解してやるのも先輩の務めか。

「不安かい?」
廣瀬は目を伏せた。無意識だろうか、膝の上で握りこんだ拳が微かに震えたのが見えた。
沈黙を是ととって、美影は続ける。
「瀬川君は、信用出来ない?」
発せられた言葉は、意図せず笑みを孕んだ。
「できます!」
答えはすぐに返ってきた。
「瀬川さんは、嘘を吐きません。わからないことは教えてくれるし、気遣いもできる…優しい人です」
その返答に美影は微笑む。
「瀬川君のことで不安だということは、彼がそれを自分でどうにかできると信用していないということだ」
廣瀬は目を見開いた。
「まだ不安かい?」
「…いえ!」
暫くして返ってきた廣瀬の声にはまだ震えが残っていたものの、しっかりと芯が通っていた。
「よし」
美影は目を細め、再び話題を戻した。

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神羅(プロフ) - 蛍火さん» すみません、もう締め切っておりまして……。それに、今は殆ど機能しておりませんので……。ボチボチ更新しなければと思うのですが、私も一応受験生でして……。すみません。 (2018年7月9日 23時) (レス) id: 57d9444f68 (このIDを非表示/違反報告)
蛍火 - お話読ませていただきました。もしも席がまだ空いているのなら、社員として、入らせていただけると嬉しい所存でございます。この小説を読もうとしたきっかけは、ラハルちゃんの紹介です。お考えの方よろしくお願い申し上げます。 (2018年7月3日 14時) (レス) id: 62a90d8188 (このIDを非表示/違反報告)
神羅(プロフ) - 浅葱さん» 頑張ります! ちょこちょこ更新しますね (2018年3月4日 21時) (レス) id: a22dd21ad8 (このIDを非表示/違反報告)
浅葱 - すごい、面白いです!更新待ってます!! (2018年3月3日 13時) (レス) id: 2921f40b7a (このIDを非表示/違反報告)
神羅(プロフ) - 花園イリアさん» はい! おかげさまで突入できました! 不定期更新ですが、これからもよろしくお願いいたします(^-^ゞ (2017年5月5日 14時) (レス) id: a22dd21ad8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:神羅 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2017年4月27日 0時

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