前世の記憶を持った異能探偵！ part2

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まあ、あくまで想像である。
その通りなら少々樂にはなるだろうが、世界は基本的にはそう上手くできてはいないものだ。あまり期待はしない方が良い。
一応伝手を辿ってリストの漏洩状況を追ってはみることにした。

処理を終えて携帯を仕舞い、改めてこれからの行動を脳内で追った。
まず交渉班と合流し、テレポートの能力を持つ東雲に森まで送って貰う。

依頼者とその後の会話で温泉街近くの森で落ち合うように話をつけたためだ。
そこで情報を受け渡す手筈になっている。
それが瀬川にとって不利に働くのは火を見るよりも明らかだ。山吹は瀬川に対してそう深く特別な思い入れがあるわけではないが、逆になにか恨みがあるわけでもない。
関係性はただ一つ、探偵社の手足として同列であるというのみである。

ただ、山吹は片手の落ちる痛みとそれに伴う不利益を計算できないほどの阿保でもないと自分では思っている。人体でも斬られれば傷がつくし、武器はおろかペンさえ握ることが困難になり、日常生活に支障を来す。決して小さな損害ではない。それは組織においても変わらないだろう。

だから、もとより交渉に応じる気など無かった。
依頼者との接触は、ひとえに彼または彼女からこの事件について聞きだす為だけのものだ。
今わかっていることといえば、瀬川が何者かに攫われたということくらいだ。あまりに情報が少なすぎる。現在の瀬川の居所さえわかっていないのだ。情報が増え全体像がつかめれば、為すべきことがわかるだろう。

今のところ大きな障害はない。
ただ、幾つか問題はあった。

一つは依頼者への尋問。
瀬川の件に関係があるのは間違いないだろうが、だからこそそう簡単に口を割るとは思いにくい。暴力沙汰になることもあり得る。
だが、その手の駆け引きなら寧ろ得意分野だ。やってできないことはないだろう。

もう一つは完全な独断専行であるということ。
行動の情報源が山吹個人の情報網であり信用に欠ける上に依頼者と直接会うのでリスクが高く、司令班に回しても許可が下りにくいと考えたためだ。
だから、今回の件で司令班に助力を請うことはできない。理由を隠すにしても、あの面子では、理由を誤魔化すのに必要な労力が大きすぎる。
出来るだけ早くに終わらせて何事も無かったかのように持ち場に戻るのが吉だろう。

考えを整理し微かに頷くと、視界の端にとらえた交渉班の方へ駆け出した。

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