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 出会ってから今日まで、彼女は分かりにくい。彼女に関することを俺は殆ど知らないし、笑顔の裏でなにを考えているのかすら当てれた試しが無いというのに、そんな彼女がここまで分かりやすく表情になるほどのことって、一体なんだ。

 じっと横顔を見つめていたからか、彼女の視線がこちらに向けられる。やがてふっと頬の筋肉を緩めると、彼女は息を吐くように、言葉を溢した。



「そんな顔をしなくとも、その時が来れば、ちゃんと話すさ」

「ほんとに?」

「私は出来ないことを約束はしない。いや、しないことに、決めたんだ」



 俺を見ているようで、どこか遠くを見ている目が俺を射ぬく。その視線の先には一体、誰が、居るのだろうか。



「君達は揃いも揃って高そうな所に住む」

「まぁこんな職業だからなぁ。セキュリティーは厳重にしたくね?」

「そんな問いを投げ掛けても、残念ながらおんぼろ一軒家に住んでいる私からの同意は得られないぞ」



 外で天高く聳え立つマンションを見上げた彼女を横目にセキュリティーを解除し、エントランスを潜る。その後ろを彼女ものろのろと着いてきて、丁度良くやって来たエレベーターに二人一緒に乗り込んだ。
 いつも押す階のボタンを押し、ういーんという音と共に襲う浮遊感を感じていると、背後で彼女が口を開いた。



「もしカメラを見つけた場合、君はどうする?」

「そりゃもちろん、通報でしょ。他にある?」

「……いや、中にはその犯人を自分で炙り出して、危険なことをする依頼人も居たからな。ちょっとした確認だ」



 俺と同い年でも、環境や職種が違うだけでこうも違うんだな。壁にもたれ掛かって目を瞑っている彼女の脳内では、きっと俺では想像も出来ないほどの思考が巡らされているのだろう。

 昨日、彼女は今日抜け出すという連絡を寄越したついでに、こうも言っていた。「君の命は、私が保証する」
 俺では到底、言えっこない言葉だった。







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白菜(プロフ) - 河良紅好さん» ご報告ありがとうございます!助かりました!早急に修正させて頂きます! (2020年6月16日 22時) (レス) id: a14ef8aee6 (このIDを非表示/違反報告)
河良紅好(プロフ) - はじめまして、陰ながら白菜さんの作品を楽しく拝見させて頂いてます。大変失礼ですが、事件No.5の2ページ目の「マーキング」が「マーケティング」になっていました事をご報告させて頂きます。 (2020年6月16日 21時) (レス) id: a18b40da37 (このIDを非表示/違反報告)
るーと - この作品を読むのが最近の密かな楽しみになっています。ご無理をなさらない程度に更新頑張ってください!これからも楽しみにしてます! (2020年6月12日 21時) (レス) id: 300feac1d8 (このIDを非表示/違反報告)
餅兎(プロフ) - 遅ればせながら新作ありがとうございます…! Twitterで設定をお見かけして以来ずっと心待ちにしておりまして、余りのことに学校滅ばねえかなとまで考えておりました。早速背筋の凍るような展開にゾクゾクしております、更新頑張って下さい。 (2020年6月11日 20時) (レス) id: 10f5dc34bc (このIDを非表示/違反報告)
神木(プロフ) - 占ツクを開くたびに更新されてないかなーって確認するくらい更新とても楽しみに待っています!更新頑張ってください! (2020年6月11日 16時) (レス) id: ded004bcdf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白菜 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年6月9日 19時

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