ページ ページ41
.
空間認識能力があまり高くないと自分で言っていた彼女は、こうして地図に書き込まないと事件現場と事件現場の位置関係を把握できないらしい。まぁあまり僕も位置関係の把握は得意ではないので人のことは言えないが。
「
「そうですよ。てか咥えずに手に持ったらどうなんですか」
「
こうちゃんの住んでいるマンションがある場所、そしてここの二つに丸をつけ、面倒だとかなんとか言って結局向かわずに川上の事件があった場所にも丸をつける彼女。事件現場回るんじゃなかったのか。
「
「そうですか。なら僕はこの辺で」
「
カチッとペンのキャップをしっかりはめ、踵を返した僕の元に駆け寄ってくる彼女を一瞥。
容姿や口調は大人っぽいが、背はあまり高くないようで、彼女の頭は僕よりも下にある。僕もあまり高い方ではないので、こうして誰かの頭を見下ろせるのは山本と彼女くらいだ。
「まぁ事件の場所と場所とを繋いでマークを作る、なんて愉快犯じゃなくて良かったじゃないか」
「はたしてこれはそういう問題なのか」
彼女の良かったの基準はよく分からない。
そんなことを考えながら並んで来た道を戻っていれば、俯いた茶髪の女性が真っ直ぐこちらへやって来る。このまま歩くとぶつかるよな、と思い横に逸れようとすれば、突然、強い力で後ろにぐんっと腕を引かれた。
突然のことに体が反応できず、ただ勢いのまま引かれた方へ重心が傾く。なんとか踏み留まれば、そんな僕の前を、紫のメッシュが入った頭が横切った。
ふわりと、彼女の吸っているロングピースの香りが、鼻を掠めた。
―――グサッ
皮膚を貫いたそんな音が、鼓膜を揺らした。
「……神津、さん?」
僕の目の前に立ち、こちらに背を向けたままの彼女に、先ほどの茶髪の女性がぶつかっている。ぶつかった女性の目は、どこか虚ろだった。なにかをぶつぶつと呟いていて、正直、不気味だ。
→
611人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白菜(プロフ) - 河良紅好さん» ご報告ありがとうございます!助かりました!早急に修正させて頂きます! (2020年6月16日 22時) (レス) id: a14ef8aee6 (このIDを非表示/違反報告)
河良紅好(プロフ) - はじめまして、陰ながら白菜さんの作品を楽しく拝見させて頂いてます。大変失礼ですが、事件No.5の2ページ目の「マーキング」が「マーケティング」になっていました事をご報告させて頂きます。 (2020年6月16日 21時) (レス) id: a18b40da37 (このIDを非表示/違反報告)
るーと - この作品を読むのが最近の密かな楽しみになっています。ご無理をなさらない程度に更新頑張ってください!これからも楽しみにしてます! (2020年6月12日 21時) (レス) id: 300feac1d8 (このIDを非表示/違反報告)
餅兎(プロフ) - 遅ればせながら新作ありがとうございます…! Twitterで設定をお見かけして以来ずっと心待ちにしておりまして、余りのことに学校滅ばねえかなとまで考えておりました。早速背筋の凍るような展開にゾクゾクしております、更新頑張って下さい。 (2020年6月11日 20時) (レス) id: 10f5dc34bc (このIDを非表示/違反報告)
神木(プロフ) - 占ツクを開くたびに更新されてないかなーって確認するくらい更新とても楽しみに待っています!更新頑張ってください! (2020年6月11日 16時) (レス) id: ded004bcdf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ