事件No.5 ページ35
．
「―――さてと、では事件を整理するとするか」
「何故その相手が僕なんですか。福良でも問題は無いでしょう」
「まぁ良いじゃないか。丁度良いところに居たのが運の尽きということで諦めたまえ」
オフィスから帰ろうとしたところで捕獲され、仕事の疲れやその他諸々でげっそりとしている僕の前で、僕がげっそりとしている要因である彼女はいつもの如く笑顔を浮かべて足を組んでおり、どうやら僕を解放する気はさらさら無いらしい。
仕方なく僕も椅子にもたれ掛かって、足を組む。彼女と同じ体勢というのはなんだか癪な気もしたが、この体勢が一番落ち着くのだから仕方ないだろう。
机の上で手を組み、彼女が口を開くのを待っていれば、徐に彼女は紙とペンを取り出し始めた。一応しっかりと纏めるつもりはあるらしい。普段の不真面目な印象が強すぎて、なんだか意外だ。
「まず私がここにやって来たのは今から一ヶ月半前だ。私はしーたくに依頼され、このQuizKnockにやって来た」
「そうですね。第一印象は最悪でしたよ」
「褒め言葉として受け取っておこう」
白紙だった紙にしーたく、依頼と書かれ、矢印が書かれる。いや別に本人が分かればそれで良いのだろうが、ちょっと雑すぎやしないだろうか。
その横に依頼された日付も書かれ、矢印の先にはきゅけ、会ったとこれまた雑に纏められる。そこまで雑なら別に紙面上に纏めなくとも頭の中で纏められるのでは、と思ったのは、まぁ言わないでおこう。
「そして最初の事件が、なべ君の物紛失事件」
「ネーミングセンス皆無ですね」
「しーたくにも同じこと言われた」
なべ君紛失事件、と書き込まれ、その横に契約を交わしたという日付。書き込まれた事件の概要は、こうだ。
こうちゃんの物の紛失が相次ぎ、その日も彼はUSBを無くして困り果てていた為、その原因を突き止めるということで彼女が依頼を受けることに。
契約を交わしてから一週間が経過した所でこうちゃん宅に訪れれば、嗅ぎなれた煙草の香りが鼻を掠めたという。
→
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 611人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白菜(プロフ) - 河良紅好さん» ご報告ありがとうございます！助かりました！早急に修正させて頂きます！ (2020年6月16日 22時) (
レス) id: a14ef8aee6 (このIDを非表示/違反報告)
河良紅好(プロフ) - はじめまして、陰ながら白菜さんの作品を楽しく拝見させて頂いてます。大変失礼ですが、事件No.5の2ページ目の｢マーキング｣が｢マーケティング｣になっていました事をご報告させて頂きます。 (2020年6月16日 21時) (レス) id: a18b40da37 (このIDを非表示/違反報告)
るーと - この作品を読むのが最近の密かな楽しみになっています。ご無理をなさらない程度に更新頑張ってください！これからも楽しみにしてます！ (2020年6月12日 21時) (レス) id: 300feac1d8 (このIDを非表示/違反報告)
餅兎(プロフ) - 遅ればせながら新作ありがとうございます…！ Twitterで設定をお見かけして以来ずっと心待ちにしておりまして、余りのことに学校滅ばねえかなとまで考えておりました。早速背筋の凍るような展開にゾクゾクしております、更新頑張って下さい。 (2020年6月11日 20時) (レス) id: 10f5dc34bc (このIDを非表示/違反報告)
神木(プロフ) - 占ツクを開くたびに更新されてないかなーって確認するくらい更新とても楽しみに待っています！更新頑張ってください！ (2020年6月11日 16時) (レス) id: ded004bcdf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
