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49.行っておいで ページ49

「ん〜!美味しいわ〜!」


「蜜璃さん、よく噛んで食べてくださいね。」



 気持ちを落ち着かせて居間へと戻ったものの、


 杏寿郎を見ると胸がいっぱいになってしまい、


 食事もあまり喉を通らない。



「Aさん、どうかしました?

 あまり箸が進んでいないようですが…

 お口に合いませんでしたか?」



「ん!?ううん!そんなことないよ!

 すごく美味しい。千寿郎くんありがとう。」



 私が笑顔を向けると、

 千寿郎くんはほっとしたのか胸を撫で下ろした。



「あのう…おかわりあります?」


「はい!たくさん用意したので!」



 蜜璃さん、細いのにご飯いっぱい食べるんだ…!



「蜜璃さんはよく食べる方なのですね!」



 私がそう言うと、蜜璃さんは慌てて答える。



「きゃあああ!つい癖で…恥ずかしいです。

 女で大食いなんてはしたないですよね…」



「そうかな?私はいいと思いますよ。

 あなたは幸せそうにご飯を食べるから、

 見ていて幸せになります。男も女も関係ないです。」



 そう語りかけると、

 彼女は箸を置いていきなり私に抱きついて泣き叫んだ。



「Aさん!好き!!大好きです〜!!」



「ふふふ。ありがとう。」



 私が彼女の背中をさすっていると、


 杏寿郎と目が合い、彼は目を細めて微笑んだ。





 大好きなその笑顔が


 今は私の心を押しつぶすようで…




「さあ、甘露寺!昼餉を終えたら稽古の続きだ!

 これからは隊士として

 任務にあたらなければならないからな!」




「は、はい!!!」






 昼餉を終えると、


 私はみんなに挨拶をして煉獄家を出た。




 木枯らしが吹く道を一人歩き始めた時、


 不意に呼び止められて声のする方へ身体を向けると、


 そこには杏寿郎がいた。




「A…!!」




「杏寿郎?」




 息を切らした彼は、


 落ち着くようにと一度だけ深呼吸をすると


 その手に握っていたものを差し出した。




「あ…」




「君の大切な簪、直ったんだ。

 この後、生家へと帰ると聞いた。

 今日のその素敵な着物…

 彼にも会いに行くのだろう?」



 私がこくりと頷くと杏寿郎は優しく微笑んで


 手にしていた桔梗の簪を私にさしてくれた。





「うむ。よく似合っている。





 とても素敵だ。




 この世で一番美しいと思う。





 さあ、行っておいで。」

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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - ハウンさん» ハウンさん、こちらこそお読みいただきありがとうございます!引き込まれると言ってくださり大変光栄です!続編も更新しましたので、引き継ぎお楽しみいただけるよう頑張りますね! (2022年3月1日 22時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、ありがとうございます!まっすぐな煉獄さんの深い愛情が表現できていれば…と思います。これからもそんな彼を言葉だけではなく、仕草や態度での表現ができるように努めたいところです! (2022年3月1日 22時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
ハウン(プロフ) - 素敵な作品を作っていただきありがとうございます!ものすごく感情移入してしまって胸が締め付けられるくらい引き込まれました!続編楽しみにしてます! (2022年2月28日 23時) (レス) id: 065a2165a6 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 今日も煉獄さんが素敵だ。押し付けがましいところは一切なく、ただただ彼女の幸せを願い笑顔を作れる彼は本当に素敵。 (2022年2月28日 21時) (レス) @page50 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - misakimiさん» 彼はあまり内緒話など出来なさそうですよね(笑) 巧いだなんて言っていただけて…嬉しすぎて今夜は幸せな気持ちで眠れそうです〜!いつもありがとうございます。 (2022年2月26日 21時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2022年2月5日 21時

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