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43.曇った瞳 ページ43

湿った香りが身体を包む。


 星の見えない曇り空の下、


 私たちは異能の鬼と対峙した。




 水の溜まった場所に足を踏み入れると


 地の草が伸びてきて足元に絡みつく。



「くっ…!!」



 炎の呼吸 弐ノ型 昇り炎天!!!



 日輪刀であれば足元に絡みつく草は簡単に切り落とせた。







 鬼に近づくためには水溜りを避けて


 足を下ろさなければならない…?





 けれどそれでは時間がかかり過ぎてしまう。


 そんなことではこの鬼を倒すことなど到底できない…



「二人とも、少しだけ私の話を聞いてくれますか?」


「はい!」


「もちろんです!」





「これより先、水の溜まった場所に足を下ろせば


 足元を取られて身動きが取れなくなります。


 日輪刀で断ち切るとしばらくは再生しないから


 攻撃を繰り返しながら進むしかないかと。


 そうなると、かなりの体力を消費する恐れがあります。」







「そ、そんな…私には…できま…」



「花子さん!しっかり!」



 相之助くんは

 気を引き締めるようにと花子さんの肩に手を置いた。



「そこで私に考えがあるの。

 私が先に鬼に向かって走って行き、道を開けるから、

 二人は私の後ろからすぐに着いてきてください。」



「つまり僕たち二人が鬼の頸を狙うと…」




「そう!私が必ず道を開けるから安心して!」



 二人は私を見つめると、深く頷いた。





 鬼の身体は細身で背丈が高く、常に目を閉じている。





「おや?可愛い小娘どもが来たのか。

 ようこそ、僕の庭へ。

 ねえ、一緒に遊ぼうよ…」




 そう告げた瞬間、鬼の目が一気に開いた。



 真っ白なその目からは憎しみの感情が伝わってくる。





「ねえ、遊んでよ。

 たくさん遊んで夜が明ける頃に…



 食べてあげるよ。」






「鬼のあなたとは遊べない。」




「人間はそうやって僕を遠ざけるんだ。

 僕が人間だった頃も同じ。

 遠くに行かないように見張っては、

 僕以外の人と遊ぶ子はどこまでも追いかけて

 目をつぶして…」







 酷い…





「だって離れて行く人たちが悪いでしょう?

 みんな僕のものなのに…陰でコソコソしては

 僕を遠ざけようとした人間たちが悪い。」





「人は物ではない。

 みんな心を持っているの。

 あなたの周りの人は、鬼の心をもったあなたに恐怖して

 きっと遠かったのよ…」





 鬼は激しく身を震わせて叫んだ。


 

44.思いやる心を→←42.加密列の香り袋



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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - ハウンさん» ハウンさん、こちらこそお読みいただきありがとうございます!引き込まれると言ってくださり大変光栄です!続編も更新しましたので、引き継ぎお楽しみいただけるよう頑張りますね! (2022年3月1日 22時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、ありがとうございます!まっすぐな煉獄さんの深い愛情が表現できていれば…と思います。これからもそんな彼を言葉だけではなく、仕草や態度での表現ができるように努めたいところです! (2022年3月1日 22時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
ハウン(プロフ) - 素敵な作品を作っていただきありがとうございます!ものすごく感情移入してしまって胸が締め付けられるくらい引き込まれました!続編楽しみにしてます! (2022年2月28日 23時) (レス) id: 065a2165a6 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 今日も煉獄さんが素敵だ。押し付けがましいところは一切なく、ただただ彼女の幸せを願い笑顔を作れる彼は本当に素敵。 (2022年2月28日 21時) (レス) @page50 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - misakimiさん» 彼はあまり内緒話など出来なさそうですよね(笑) 巧いだなんて言っていただけて…嬉しすぎて今夜は幸せな気持ちで眠れそうです〜!いつもありがとうございます。 (2022年2月26日 21時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2022年2月5日 21時

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