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25.煉獄家 ページ25

太陽が高く上がった頃


 私は杏寿郎と共に荘厳な佇まいのお屋敷に着いた。



「さあ、煉獄家に着いたぞ!


 稽古の前に一度家の中に上がろう!」



「とても立派なお屋敷だね。お、おじゃまします。」



 門をくぐると、


 杏寿郎によく似た一人の少年が


 庭で必死に剣を振りかざしていた。




「千寿郎、ただいま戻ったぞ!」



 杏寿郎が声をかけると、


 少年は手を止めてこちらに駆け寄ってきた。



「兄上!おかえりなさい!

 それとはじめまして。Aさんですよね?

 僕は煉獄千寿郎です。

 Aさんのことは兄からよく話を聞いています。」



 千寿郎と名乗った少年は深々と頭を下げた。



「はじめまして!AAです。

 よろしくね、千寿郎くん。」


「はい!」



 笑った顔も本当に杏寿郎にそっくりだ。


 礼儀の正しさも同じ。


 育ちが良いんだなあ。



「千寿郎、遅くなってしまってすまない!

 あの後父上は?」



 杏寿郎の問いに千寿郎くんは肩を落とした。



 風が木々を揺らし、音を立てて私たちの髪をさらう。



「父上はあの後、

 自室に篭ったきり出てきません。」




 "あの後"ってなんだろう…




「そうか。」



「できれば槇寿郎様にご挨拶をしたいのだけど…

 難しい…よね。」



 そんな雰囲気でもないかな…


 でも助けてもらって以来お会いできていないし…




 槇寿郎さんは今でも私の憧れの存在。


 たとえ今は任務に行っていないとしても


 それは変わることはない。





 恐る恐る杏寿郎の顔を見ると、


 彼は柔らかい顔で微笑んでくれた。




「ぜひ話をして欲しい。父もきっと喜ぶだろう。」



「…そうですね!

 まもなく昼餉の時間ですし、

 もうすぐ支度ができると父上に伝えてください。」



「うむ。昼餉の準備もしてくれていたのだな!

 ありがとう、千寿郎。」



 杏寿郎は千寿郎くんの頭を撫でると、


 私の手を引いて歩きはじめた。





 流れるように自然に繋がれた手は


 とてもあたたかくて、なんだかホッとする。








「父上、杏寿郎です。

 少しだけよろしいですか?」



 閉ざされた襖の向こうからは返事がない。



「父上に会わせたい人がいます。」







「誰であろうと俺は会わない…

 出て行ってくれ…」



「しかし、」




「うるさい!!黙って…」




 怒鳴り声と共に勢いよく襖が開かれた。



 

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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - ハウンさん» ハウンさん、こちらこそお読みいただきありがとうございます!引き込まれると言ってくださり大変光栄です!続編も更新しましたので、引き継ぎお楽しみいただけるよう頑張りますね! (2022年3月1日 22時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、ありがとうございます!まっすぐな煉獄さんの深い愛情が表現できていれば…と思います。これからもそんな彼を言葉だけではなく、仕草や態度での表現ができるように努めたいところです! (2022年3月1日 22時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
ハウン(プロフ) - 素敵な作品を作っていただきありがとうございます!ものすごく感情移入してしまって胸が締め付けられるくらい引き込まれました!続編楽しみにしてます! (2022年2月28日 23時) (レス) id: 065a2165a6 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 今日も煉獄さんが素敵だ。押し付けがましいところは一切なく、ただただ彼女の幸せを願い笑顔を作れる彼は本当に素敵。 (2022年2月28日 21時) (レス) @page50 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - misakimiさん» 彼はあまり内緒話など出来なさそうですよね(笑) 巧いだなんて言っていただけて…嬉しすぎて今夜は幸せな気持ちで眠れそうです〜!いつもありがとうございます。 (2022年2月26日 21時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2022年2月5日 21時

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