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23.横顔 ページ23

「ねえ、杏寿郎?」



「何だ?」



「えっと…どこに行くの?」




 私の家を出てしばらく、



 私は彼の進むまま後をついて歩いていた。




「買いたいものがあってな!」



「買いたいもの?」




 しばらくすると人々で賑わう繁華街に出た。





「あら!杏寿郎さんじゃないの〜!

 ちょっと寄って行きなよ〜!」




「呉服屋の正子さん!ご無沙汰しております!

 息災でしたか?」



「みんな元気よ〜!うちのうるさい旦那もね!」


「うるさいとは余計だな〜!

 うちの家内の方が声も大きくてうるさいわい!」



 お互いのこと言っているけど、仲の良さそうな夫妻だ。



「あれ?そちらの女性は?」



「同じ鬼殺隊で俺の同期です!」



「はじめまして!

 最近こちらの方に越してきましたAAです。」



 私が挨拶をすると、呉服屋の夫妻は優しく笑った。



「Aさん、よろしくね!うちを贔屓にしておくれよ〜!」


「おう!Aさん!いつでも待ってるぞ!」



「はい!」




 あたたかい雰囲気のお店に何だか懐かしい匂いがした。





「おーい!杏寿郎!

 飯食って行けよ!うまい魚が届いたんだ!」



「やあ!定食屋の大和さん!

 すまない!

 いただきたいのだが、実は先程食事したばかりでな!」



「そうか!それは残念だな!

 また今度寄っておくれ!」




 街を歩けば、色々なところで杏寿郎は声をかけられている。
 


 街中みんなが知り合いなのではないかと思うくらいだ。




「A、こっち!」



 杏寿郎はある店に入ると、私に手招きをした。



 その店は繁華街の少し入り組んだ道の先にある


 小さな食器屋さんで、店の前には天竺葵(テンジクアオイ)

 
 がいくつも咲き乱れている。




 店の中に入ると、


 杏寿郎は真剣にお茶碗を選んでいた。




「新しいものでも買うの?」



「うむ。

 実は今朝方、手が滑って茶碗を落としてしまってな!

 長年使っていたもので気に入っていたのだが、

 割れてしまったんだ!」



 お茶碗を見つめる杏寿郎の横顔は

 美しいのに

 どこか寂しそうで…

 その表情に胸がぎゅっと苦しくなった。



「A?」



 私には詳しくは分からないが


 きっと思い出の品だったのだろう。



「そのお茶碗も素敵だね。」



 私の言葉に杏寿郎は目を細めて笑った。



「うむ!君のお墨付きだ!これにしよう!」

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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - ハウンさん» ハウンさん、こちらこそお読みいただきありがとうございます!引き込まれると言ってくださり大変光栄です!続編も更新しましたので、引き継ぎお楽しみいただけるよう頑張りますね! (2022年3月1日 22時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、ありがとうございます!まっすぐな煉獄さんの深い愛情が表現できていれば…と思います。これからもそんな彼を言葉だけではなく、仕草や態度での表現ができるように努めたいところです! (2022年3月1日 22時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
ハウン(プロフ) - 素敵な作品を作っていただきありがとうございます!ものすごく感情移入してしまって胸が締め付けられるくらい引き込まれました!続編楽しみにしてます! (2022年2月28日 23時) (レス) id: 065a2165a6 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 今日も煉獄さんが素敵だ。押し付けがましいところは一切なく、ただただ彼女の幸せを願い笑顔を作れる彼は本当に素敵。 (2022年2月28日 21時) (レス) @page50 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - misakimiさん» 彼はあまり内緒話など出来なさそうですよね(笑) 巧いだなんて言っていただけて…嬉しすぎて今夜は幸せな気持ちで眠れそうです〜!いつもありがとうございます。 (2022年2月26日 21時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2022年2月5日 21時

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