淡紅舞う【煉獄杏寿郎】

20.心配 ページ20

急いで身支度を済ませ、


　襖の向こう側にいる杏寿郎に声をかける。



「…杏寿郎？もう開けても大丈夫だよ。」



　私が声をかけると、ゆっくりと襖が開いた。



「先程は大変失礼なことをした…！

　申し訳ない！

　今朝方早くに、要伝いにAの鎹鴉にお願いして

　家を教えてもらってな！


　家に着いた時も、君の鎹鴉が君を起こしてくると

　言って行ったきり戻ってこないもので、

　何かあったのかと思い、つい勝手に上がってしまった！」

　


　なるほど。だからそんなに慌てて入ってきたのか…




「和咲…？」



「カア…」



　先程の和咲についての説明を訂正したいと思う。


　和咲は情報が早くて頼りになる相棒だ。


　そう、任務に関する情報は…ね。



　少し抜けているところがあり、たまにこういうことがある。


　まあ、本当に緊急の時はそうはならないから…


　大目に見て良しとしよう。





「A、ゴメン。

　Aト話ヲシタラ、伝エタイコトガ飛ンデイッタ…」



「ふふふ。今回のことは良いよ！

　杏寿郎だったし、

　本当に泥棒さんの時はちゃんと言ってね！」



「カアア！」



　私がそんなことを和咲に言っていると、

　突然両肩を掴まれた。



「危険だぞ！」



「ん！？」



　真剣な眼差しでこちらを見つめる彼から目を離せない。



「君はここで一人で暮らしているのだろう？」



「そう…だけど？」



　杏寿郎は私の肩を掴んでいた手の力を緩めて


　眉を下げて心配そうな顔をする。



「一人で住んでいて何かあったらどうする？


　戸締まりはしっかりして欲しい。」




「うん。…あ、でも金目のものはここには置いていないから

　大丈夫だよ！」



　私がそう言って笑うと、


　杏寿郎は私の顎に手を添え、


　軽く上げて自身の方に私の顔を向けた。








「そうじゃない…





　君は女の子なんだ。


　もう少し考えなさい！」

　




「あ…はい。」





　私の身を心配してくれたんだ。




　あまりそこまで考えたことはなかった。




「気をつけます！」




「うむ！」




「それはそうと、杏寿郎はなぜここへ？」





　私が問うと、杏寿郎は満面の笑みで答えた。








「稽古だ！君と稽古がしたい！」

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