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13.溢れ出す想い ページ13

「なんでよおおお!!!


 なんで私がこんな餓鬼にいいい!!!」




 老婆へと姿を変えていきながら消えていく鬼は


 かつては十二鬼月だったのだろう。



 この人も昔は人間だったんだ。


 私と同じ人間だったんだ。



 でも、鬼を許すことはできない!


 絶対に…できない。




「任務完了だな!」



「うん!

 杏寿郎はさすがだなあ…

 判断が早くて指示が的確で!」




 ちょっと見ない間にまた背が伸びた気がする。


 初めて会った時はここまで離れていなかったのに。


 すっかり大人になってしまった。



「そうか?


 自分では分からないが君に褒められるのは嬉しいな!」




 刀を鞘に納めると私と杏寿郎は歩き始めた。



 空を見上げると


 三日月は雲を一つも纏わず優しく空を彩る。


 星もいくつも瞬いていて煌めいている。




「なあ、A。」



「ん?」



「せっかくこちらの地区を担当することになったんだ。


 もっと君と稽古がしたいのだが…」



 私と稽古?



「私なんて、杏寿郎の相手は務まらないよ!

 それに杏寿郎は確か見込みのある

 弟子を取ったって風の噂で聞いたけど…?」



 

 私がそう言うと杏寿郎は目を丸くして驚いた。




「ああ!甘露寺のことだな!

 彼女は筋が良く、才能がある!

 まだ鬼殺隊には入隊していないが、

 いずれ俺たちの仲間になるだろう!」




 やはり弟子を取ったんだ。


 代々炎柱を輩出している煉獄家に太鼓判を押される


 ということは、相当長けているんだろうなあ。



「しかし、それと君との稽古は関係ない!

 
 数少ない同期ではないか!是非!」



 熱い眼差しが眩しい。



「ふふふ。分かった!むしろこちらとしては光栄なこと!

 同じ呼吸の使い手として杏寿郎から教わりたいことも

 たくさんあるし、稽古つけてもらえると嬉しい!」



 私が微笑みかけると、


 杏寿郎は私の頭を優しく撫でた。



「俺も嬉しい!ありがとう!」



 大きな手のひらに


 私は過去の記憶が蘇る。




 "A、ありがとう。"




「…っ」



「A?どうした?」




 ここ数年閉じ込めていた想いが


 なぜが一気に溢れ出した。




 ぽろぽろと頬を伝う涙は止まることを知らない。





 すると、杏寿郎は黙って私の涙を指で拭った。





「美味しいご飯屋さんを知っているんだ。


 一緒に行こう。」

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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - ハウンさん» ハウンさん、こちらこそお読みいただきありがとうございます!引き込まれると言ってくださり大変光栄です!続編も更新しましたので、引き継ぎお楽しみいただけるよう頑張りますね! (2022年3月1日 22時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、ありがとうございます!まっすぐな煉獄さんの深い愛情が表現できていれば…と思います。これからもそんな彼を言葉だけではなく、仕草や態度での表現ができるように努めたいところです! (2022年3月1日 22時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
ハウン(プロフ) - 素敵な作品を作っていただきありがとうございます!ものすごく感情移入してしまって胸が締め付けられるくらい引き込まれました!続編楽しみにしてます! (2022年2月28日 23時) (レス) id: 065a2165a6 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 今日も煉獄さんが素敵だ。押し付けがましいところは一切なく、ただただ彼女の幸せを願い笑顔を作れる彼は本当に素敵。 (2022年2月28日 21時) (レス) @page50 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - misakimiさん» 彼はあまり内緒話など出来なさそうですよね(笑) 巧いだなんて言っていただけて…嬉しすぎて今夜は幸せな気持ちで眠れそうです〜!いつもありがとうございます。 (2022年2月26日 21時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2022年2月5日 21時

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