先生のありがたいお話 ページ9
*
「ナムジュンはさ、なんで防弾少年団に入ったの」
「え?」
「だって目指してたものとは違うでしょ?」
ナムジュンだけじゃない。
ユンギもホソクもそうだ。
本来はラッパーとしてグループ活動を予定してたこの子たちは、事務所の急な変更でアイドルとしてデビューすることになって。
夢がデビュー目前に頓挫して去っていった仲間もいたけど、3人は残ってデビューする道を選んだ。
防弾少年団としてデビューした今となっては、人気も出て、彼らが作る音楽も評価してもらえてるから間違った選択じゃなかったんだろうし、やっぱりパンPDって偉大だなって思い知らされる。
だけどその頃の様子を近くで見てて、すごいなとも不思議だなとも思ってた。今もちょっと思ってる。
だってアイドルだよ?この3人が。
それまで「本当の音楽も知らないでニコニコしてる奴らばっかり」なんて、ディスりたっぷりの歌詞を書いてたのに、張本人がその毛嫌いしてるアイドルになっちゃうなんて。ちょっと笑える。
それになんていうか、性格的にも向いてなさそうじゃん。
ファンサービスとかするタイプじゃなさそうだし、めんどくせーって思ってそうだもん。特にあの白い人とかさ。
「アイドルだろうがなんだろうが、自分の言葉を自分の音楽で伝えられるなら何だってやってやろうって、思ったからですかね」
「自分でかぁ…」
「諦めが悪いんです、俺」
「知ってます」
しかも頑固で負けず嫌いだしね。
でもその『絶対にやってやる』っていう意思の強いところ、嫌いじゃない。
「ははっ、でしょ。まぁそりゃダンスとかビジュアルとか、いろいろ想定外なこともあったけど(笑)後悔はしてないです」
「なるほどねぇ…勉強になりました」
「あはは、何ですかそれ」
自分で伝えること。
誰かが代わりに伝えること。
伝える言葉は同じなのに
どう違うんだろう。
私にはまだ未知の世界だ。
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作者名:tnk | 作成日時:2016年10月16日 22時