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「Aヌナ」
「ん?」
「楽しかった?」
「どうかな。よくわからないけど、嫌ではなかった、かな」
よく分からないというより、よく覚えてないんだけど。ほんと私の記憶どこいったんだろ。迷子?
「Aヌナねぇ、笑ってたよ」
「ほんと?」
「うん。あーこの人歌うの好きなんだなーって」
「ふふ、この人?」
「テレビ見てた人が!きっと思うよ」
何故か励まされてるわたしと、いつかみたいに熱弁するジミナ。こんな薄暗い廊下の隅っこで2人小さくなって。
何これ?って可笑しくて笑ってたら、信じてもらえないと思ったのか「本当なのに!」ってぷりぷり。
「ジミナはすごいねぇ」
「なにが?」
「だって歌も歌ってダンスも踊って。疲れないの?」
私なんて歌を歌うだけで、こんなマラソンしたあとみたいに足もガクガクでゼェハァいってるのに。この上さらにダンスなんて。間違いなく死ぬ。
それをあんなにニコニコしながら、コンサートともなれば何曲も続けて…
はぁ〜、本当にほんっっとに、尊敬する。アイドルってすごいわ。
わたしには生まれ変わっても無理です。
羨望の目で見てると、きょとんとしてたジミンはケラケラと糸目をさらに細めて笑った。
「あはは!そりゃ疲れるよ!疲れるけど〜それよりもっと楽しいんだよねぇ」
「そっか、なら頑張れるね」
「…そうだね、頑張れる」
鼻を擦ったジミンは小さく頷いて、へへって照れ臭そうに笑った。
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作者名:tnk | 作成日時:2016年10月16日 22時