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*


「それでテテがその変なフルーツ食べちゃって〜」
「うんうん」
「トイレから出てこれなくて危うくライブ間に合わないとこだったんだよ!」
「そっかそっか〜」
「テヒョンさんのトイレ待ちです!ってイヤモニから聞こえて俺笑いすぎで涙出ちゃったもん」
「そっか大変だったね〜」



ジミンが楽しそうに話す海外ツアーのお土産話をさらっと聞き流しながら、買ってきた夜食を食べつつレッスンの準備をする。
やっぱり夜食のおでんは最高。大根サイコー。


「…Aヌナ聞いてる?」
「聞いてる聞いてる。あ〜あった。はい、これが楽譜ね」
「え〜まだ面白い話あるのに…」
「後からまた聞くから。それよりジミナ、次のアルバムものすごぉーく難しいから練習しとかないと。レコーディングの時泣いちゃうかもよ?」
「ゔぅ…」


じとーっと恨めしい目で見てくるジミン。そんな目したってダメなもんはダメ。
今回のアルバムでこの子はキーマンなんだもん。しっかり鍛えなくちゃ。


「じゃあタイトル曲からいきますよ〜」
「はぁーい」


デモを流すとさっきまでの嫌そうな顔からころっと変わって、うわぁーって感嘆を上げながら夢中になって譜面を追うジミナ。うはは可愛い奴め。



自分の作った曲を嬉しそうに聞いてくれるのって、何度経験しても嬉しいものだ。
どんなに大変で辛かったこともこの瞬間この顔を見たら、全てがチャラになる。いや、また作りたいって思わせられるんだから、むしろプラスかな。


そんなウハウハした気持ちでいたのもつかの間。


「やっぱりAヌナ声綺麗だね〜」


間奏でポツリ呟いたジミナの言葉のせいで、私の浮上してた気分はずーんと底辺に食い込んだ。

せっかく思い出さずにいたのに…ひどい奴め。



*

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作者名:tnk | 作成日時:2016年10月16日 22時

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