【忍たま】色恋にうつつを抜かせ【短編集】 続

心美しき 3 ｰ鬼蜘蛛丸ｰ ページ33

ﾊﾞﾀﾊﾞﾀｯ

慌てて義丸たちのところに行く。
疾風さんや義丸達の中にAさんが一人静かに座っていた。

義「おっ！目が覚めたか！」

第「体調は平気か？」

鬼「それは全然･･･それより、Aさん」

腕を掴んで外に引っ張り出す。
眉間に皺を寄せているようだが、外に出て手を離せば少し呼吸を落ち着かせていた。

鬼「カメ子ちゃんから聞きました･･･男性･･･苦手なんですよね」

「！」

鬼「ありがとうございます。苦手な中･･･担いでここまで運んでくれたと聞きました！」

頭を勢いよく下げる。
男性が苦手だ、という事実を聞かされて全てに納得した。

Aさんは笠をまた深く被り直す。

「頼まれたからやっただけです」

鬼「でも」

「それより、お仲間さん達がそろそろお呼びになりますよ。」

鬼「あ、ちょっ･･･どこへ！？」

「見張り小屋で少し気分を落ち着かせてきます」

鬼「･･･お気をつけて」

早足で向かうAさんは早くこの場から去りたいという気持ちなのだろうか。
苦手な理由こそ知らない･･･けど、苦手だからと逃げたのではなく。

俺を助けてくれたという優しい心に少し惹かれた。

カ「鬼蜘蛛丸様！」

鬼「あぁ･･･カメ子ちゃん」

カ「Aさんは？」

鬼「見張り小屋に行きました、気分を落ち着かせると･･･カメ子ちゃん」

カ「はい？」

鬼「何故･･･男性が苦手になったか、ご存知ですか」

カ「･･･知っていますが、私の口からは言えません･･･約束してますから」

鬼「･･･そうですか、分かりました。」

言えないことか･･･気になるが、追求してしまったら彼女はきっと傷つく気がする。
今度･･･本人に聞くしかないか･･･。

カ「それより海賊さんたちがお呼びですよ」

鬼「はい、ありがとうございます」

カ「あの･･･鬼蜘蛛丸さん」

鬼「ん？」

カ「Aさんが男性を苦手と聞いて･･･どうお思いになりましたか？」

鬼「どうって･･･心まで美しい人なのかなって」

カ「･･･と、言いますと？」

鬼「一度 笠が飛んで顔を見れた時があったんです、その時もすごく綺麗で･･･出会った時は無愛想で感じ悪いなとは思ってたんですけど･･･。
今日 男性が苦手にも関わらず、俺を助けてくれたのは･･･優しくて心が強いからだと思いまして
苦手なら逃げても良かったのに･･･助けてくれた、その事実でそう思ったんです」

カ「そうですか、そのお言葉が聞けて良かったです」

「･･･」

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