【A３！】お前に世界を見せてあげたい【摂津万里】 (ページ13)

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君に決めたページ13

皆と話しているうちにあっという間に稽古の時間になった

Aは稽古場の端に置かれた椅子にちょこんと座り見学する事にした

「はぁ～…！なんか、緊張するッス」

「そうだなぁ」

「しっかりしろよ、本番と同じだと思え」

「「はい」」

皆の真剣な雰囲気にAも緊張してしまう

無意識に膝の上に置いた手がギュッと力を入れてしまう

「じゃあ今日は通しでやんぞ」

「通し…」

Aの呟きに

近くにいたいづみが反応する

「通しっていうのは、簡単に言えばリハーサルみたいなものだよ」

「へぇ…」

いづみの説明に

Aはワクワクした

ーー

(稽古の場面は省きます)

「…」

通しが終わり

最後のセリフが終わった後

稽古場には、謎の緊張が走った

秋組、支配人、いづみの視線の先には

Aが

「…A、どうだった」

万里が、Aに近づいて聞く

「…とても、良かったです」

Aは口角をあげ、そう言った

「まじっすか！」

「…」

しかし万里と左京の眉間には皺が寄る

「A、嘘をつくな」

「…改めて、視覚障害者であるお前に聞く

俺達の演技は、どうだった」

「！」

左京の言葉に

Aは膝の上に置いている手を力強く握る

「…あの…すいません

全く、劇をしらない私が失礼なんですけど…

正直、劇というより…本の朗読の、気がします

あまり、その、感情が分かりづらいというか、脳裏にその場面が浮かんでこないというか…すいません分かりづらいですよね」

「いや、十分だ」

万里がAの手に手を重ね

落ち着かせる

「聞いたかお前ら

今の意見はかなり重要だ

確かに劇を見に来る客が

五感を全部持ってるとは限らねぇ

海咲の様に、視覚に障害を持ってる奴だって来てくれるかもしれねぇ

その点も考えながら演技をしなきゃなんねぇって事だ」

左京の言葉にいづみも、秋組全員も頷く

「そうですね…

皆さん、この点も気をつけつつ

練習を再開しましょう

ーーAちゃんに感想を聴きながらね！」

「えっ」

「そうっすね！」

「それがいいな」

「…うス」

「だってよ、頼んだぜ、A」

万里や臣たちの言葉に

Aは戸惑いながらも

「わ…わかった」

と、了承した