ペットにしてください。２

92 ページ44

玄関の戸を開ければ、一気にたつやくんの香りが鼻に入ってきて、途端に胸が苦しくなる






...ここへ戻ってきてどうする？


元カノと寄り戻しましたーって言われて、でもまだ同棲はしないからそれまで家事とかやってーって言われる？


そんなの耐えられない









おいで、と言われ、ソファに座るたつやくんの隣に腰掛けた


ふとテレビ台に目を向ければ、あの写真がもうないことに気づく









深「あんさ、まず、俺別により戻したとかじゃないから」


「....はい？」


深「翔太から、俺とゆ、...元カノが一緒にいる所見たって聞いたけど、別に復縁したとかじゃない」


「...じゃあ、なんで会ってたの？仕事なんて嘘ついて...」








"よりを戻してない"と言われても、まだ不安が拭いきれないのは、きっとそれを信じられないからで。


だって、仕事だって言ってたし、あんなに別れたこと後悔してたのに。









深「...嘘ついたのはごめん。でも、変に誤解されたくなくて...」


「誤解って別に...その人と会うって言うなら、」









そこで、言葉が詰まる






なら、なんだ？


あの時メッセージで、本当のことを言われていたら...？









深「Aが出ていくと思った」






まぁ嘘ついた意味なかったけど、と彼は付け足す









「...だって！たつやくんがその人のこと好きって知ってて、行くな、なんて言えないよ...」









ペットのくせに、そんなわがまま言えない


たつやくんの幸せを邪魔するような勇気はないの。









そう言えば、彼は突然、




深「もう！！なんで！？」




と叫ぶ









耳壊れるかと思った


というか、こっちが、もう！なんだけど。

93→←91

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す