ペットにしてください。２

62 深澤side ページ14

深澤side

俺はどうしたらいいんだ


Aはまだ翔太の彼女かもしれない


その可能性に、焦っている俺がいる


その理由に、気づき始めている自分がいる









「ごめんなさい。...メンバーの仲、気まずくして、」


深「Aは悪くねぇよ。そもそも、翔太とは10年以上一緒にいる。だてに脆い絆、築いてきたわけじゃない」









安心しろ、という意味を込めて、Aの頭に手を乗っける


けど、申し訳なさそうな表情は消えることなく、困ったように笑っている









頼むから、そんな無理して笑うなよ。


心の底から笑った顔は、もう見れないのか？


それとも、やっぱり翔太の方がいい？








そんな問いかけをできるわけもなく、無理やり脳内で消滅させる


これ以上、無理させられない








だから、まだこの気持ちを伝えることはしない


好きだ、なんて言えば、きっと君は困るから









深「ほら、今日はもう疲れたと思うから、寝よ？」





優しくそう言えば、素直に頷くA








こんなに距離が近いのに、


同じベッドに寝てるというのに、


誰よりも近い存在にいるはずなのに、









俺は、お前が遠いよ。











深「先にベッド行ってて」




こんな恋人みたいな発言をしても、関係は同居人と変わらない









Aが寝室に行ったのを見送って、さっきからポケットで震えているスマホを出す


2人からメッセージが来てる






ひとりは、照


岩『Aとは大丈夫？』






もうひとりは、翔太


渡『Aは？』

渡『頼む。会わせて欲しい』

渡『ふっかにその気がないなら、俺に返して欲しい』








気に食わない


"返して欲しい"なんて、我がものみたいで。


"その気がないなら"って、意味わかんねぇ。









どうしようもなくイラついて、やり場のない感情をどうにかしたくて....








スマホを閉じれば、虚ろな目の自分がいる


まるで、理性を失ったかのような。









これ以上、誰かのものになる前に、自分のものにしたくて。









ふらふらとした足取りで、Aがいる寝室へと向かった

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