80話 ８年越しの夢 ページ36
Aサイド
『……じゃあ、よろしくお願いします』
そう言って頭を下げたら、恵先輩の周りの気配が揺れた。
顔を上げると、なんと泣いていた。
ポロポロポロポロ、光を反射して輝く涙が溢れている。
私は焦った。そりゃもう焦った。
スライディング土下座の準備体勢に入ったところで、恵先輩が口を開いた。
伏「悪い、その、驚いて」
子供みたいなたどたどしい口調に思わず頬を緩ませると、笑われたのが恥ずかしかったのか、顔が赤くなった。
え、かわいい。推せるわ。
どこか和やかな雰囲気に包まれていたが、ぶち壊すのはやっぱりこの人。
特大の爆弾を投下しやがった。
五「めっぐみー!! おめでと!
8年越しの夢が叶ったね!! よかったよかった!」
『ゑ?』
兄のその言葉に、私は固まり真っ青になった。
血の気が引いた私と対象的に恵先輩の顔は真っ赤。
伏「(コイツ! 全部言いやがった!!)」
固まって兄の方を見る私達は、リトマス試験紙みたいな赤と青。
そしてはっちゃける不審な格好をした29歳児。
側から見たら地獄絵図だが、そんなことを気にしている暇などなかった。
ちょっと待って? 8年? ずっと?
脳裏にフラッシュバックしたのは、恋バナをしている時の恵先輩の顔。
ウン、めっちゃ嫌そうな顔してる。
イヤァァァァァ何やってんの私ー!! 馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!!
『気づかなくてすみませんでしたぁぁぁぁ!!』
本日何度目かの謝罪。コレはほんっとに申し訳ない。
いや地獄っしょ。好きな子に気づかれずに延々恋バナとか地獄っしょ。
伏「いや、悪いのは五条先生だから顔上げてくれ」
先輩の優しい言葉に、素直に顔を上げる。
気にしなーい、気にしなーい。後ろの方で「僕のせいなの!?」とか騒いでるけど気にしなーい。
てか一回兄は黙らせないと。流石に誰かすっ飛んでくるでしょ。うるさすぎて。
噂をすればなんとやら、直哉さんがすっ飛んできた。
直「いい加減にしてやー! うるさいでー……」
文句を言いにきた声が萎んでいく。ま、地獄絵図だし。
兄の「イヤッフー!」と言う奇声を最後に、怒涛のお見合いは幕を下ろした。
その後、結婚後のこととかいろいろ話し合い、禪院の門をくぐれたのは夜の10時。
直哉さんがまた来てねって言ってたから、次は甚爾先生連れてこよう。
伊地知さんが回してくれた車に乗りこみ、背もたれに身体を預ける。
大きく変わった関係と、何冊か禪院家にあった術式の書物をお土産に、私たちは帰路に着いた。
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yui(プロフ) - 第三弾はまだ作成中となっています。今日中にパスワード解除しますので、もうしばらくお待ちください。楽しみにしていただいてありがとうございます！！ (2023年2月5日 6時) (
レス) id: 8606fea28c (このIDを非表示/違反報告)
いちご大福 - いつも楽しく見ています！失礼ですが第三弾パスワードはどうしたらわかりますか？ (2023年2月5日 0時) (レス) @page37 id: 8d3847b149 (このIDを非表示/違反報告)
かれん(プロフ) - 初コメ失礼します。第三弾パスワードってどうしたらわかりますか？ (2023年2月4日 22時) (レス) @page37 id: 853b88f4af (このIDを非表示/違反報告)
猫狗 - yuiさん» 二リットル！？どうせなら二十リットル...((((相手にはできないのか...はっ、気づかれないようにザリガニでも忍ばせれば...(((((続き楽しみにしてます！ (2023年1月20日 21時) (レス) id: a2b9d0ac16 (このIDを非表示/違反報告)
yui(プロフ) - 猫狗さん» ええ実行しましたよ２Lってところがポイントです(((((お相手にはできないんですねそれが･･････ 理由は次回の投稿で！！ (2023年1月19日 18時) (レス) id: eb54d0122a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yui | 作成日時：2022年8月4日 18時
