【Fischer's】前途多難な恋だから * モトキ

シャンパン * 03 ページ41

クリスマスなんて、大人になってからはそれらしいことしたことなかった。働くようになって、ケーキは嫌ってほど見るし作るけど、自分で食べることもなければ、その日に何かするって事もなくなっていた。イヴや当日はとんでもなく忙しい。でも今年はイヴまでの数日は生きてる気がしないシフトだが、クリスマス当日はお休みという奇跡。
そんな中、皆がイヴの過ごし方で盛り上がり始めた。
ダーマくん、ザカオくんは安定のお仕事。
シルクくん、モトキくん、マサイくん、ンダホくん、ぺけたんは朝イチから撮影らしい。どうやらYouTuberにもクリスマスはあまり関係ないようだ。

飲んでも飲んでもまだまだあるシャンパンを眺める。ふわふわして心地よい。

シ「俺ら撮影から帰ってくるの22時とかそのくらいだし、そのあとマサイんちでクリパすっか？」

ザ「男ばっかでクリパとかむさすぎる」

"プレゼント交換とかしちゃう？"
"ないわー"
笑いながら盛り上がるそして、シルクくんが。

シ「で、このむさ苦しさをどうにかするにはやっぱり華！ってことで。Aちゃんも顔出せそうであれば、よろしく！」

ニヤリと笑う口元。あれは片思い中の私に向けた企みの口元。
毎年イヴなんて帰って来てベッドに倒れこんで、意識失うくらい疲れてたけど、今年はモトキくんに会えるかもしれない。

「嬉しい、そのためにお仕事頑張って乗り切るね」

お酒のせいで顔が火照る。意識ははっきりしてるのだが、なんだか表情がうまく作れない気がする。にへらっと緩く笑う。ふとモトキくんの方を見ると、さっきより赤くなっている。

「あれ、モトキくん、どーしたの？顔真っ赤だよ、飲み過ぎちゃった？」

モ「ん、まぁ、そんなとこ、かな」

そう聞いたものの、実際は自分も飲み過ぎてふわふわしている。いつもだったら恥ずかしくて中々近づけない距離も、へっちゃらな気がして。そっと手を伸ばしモトキくんの頬に触れた。

「顔、あついね。やっぱり酔ってるね」

また作りきれない笑顔でにへらっと笑えばなんだか焦ってるようなモトキくんが、頬に触れる私の手をとる。

モ「Aちゃんこそ、酔ってるでしょ、じゃないと、こんな・・・」

「んー？」

間の延びた返事をすると、モトキくんと目があった。

ン「おーい、イチャつきついでに、二人で摘まみ買ってきてよ」

「いっ、イチャついてないよっ」

モ「あー、はいはい。行こうか」

モトキくんは私の手をとったまま立ち上がった。

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