【Fischer's】前途多難な恋だから * モトキ

どっきり * 03 ページ28

ガトーショコラに粉砂糖をふるって、ケーキボックスに入れる。
ご飯、肉じゃが、ごま和え、お味噌汁。お魚はマサイくんちのグリルを借りるとして・・・準備万端、時計を見ると19:00まであと5分。

とりあえず、肉じゃがのお鍋をもって、お隣さんのチャイムを鳴らす。

マ「お疲れー！って、すげぇ、良い匂い・・・腹減ったぁ」

「二人がくるまでお預けね、どっきりするんでしょ？」

そう笑えば、マサイくんも勿論と意地悪な笑顔を返してくれた。
お鍋をパスして、マサイくんの家のコンロに置いてもらう。その間に、一旦家に戻り今度はお味噌汁のお鍋。そしてまたパス。それを繰り返して、マサイくんの家にあれこれ運んでいく。最後にケーキを持っていくと、マサイくんが"あんな短時間にすげぇ！"と驚いてくれた。
ちょっと照れくさくなったので、"パティシエですから"と自慢げに返しておいた。

一通り運び終えて、今度は打ち合わせに入る。私は隣のへやに隠れてて出てくる方向になりそうだ。
あれこれしてると、あっという間に15分前に。
人数分に盛られた料理にワクワクしてくる。

マ「ソファーも、ありか？」

マサイくんが呟いた。

「ソファー？」

マ「Aちゃんが隠れるとこ」

テーブル前のソファーは玄関に背を向けるように置いてある。その背に隠れるように伏せておく、ということなのかマサイくんが唸っている。

「一回試してみよっか？？隠れてみるから、マサイくん玄関の方に行ってみて！」

マ「おう」

そう言うと、ソファーの背もたれ部分に隠れるようにソファーに伏せる。上手く隠れられてるかな？

「みえてる？」

マ「見えねぇ、おっ、いけんじゃね？」

そのまま、リビングに歩いてきて入り口くらいで"あー"と声を出す。

マ「だめだわ、この距離だとやっぱ丸見え」

まぁローソファーだし、そうだよね。ある程度は予想してたけど、やはり。笑いながらこっちに向かうマサイくんに向かって、ふざけて驚かす振りをする為、勢いよく立ち上がる。

「さぷらーいずっ」

マ「いや、驚くわけ・・・って、あぶねっ」

バランスを崩して倒れかけた私をかばうように支えたものの、マサイくんも一緒にバランスを崩して、ソファーに倒れこむ。

"ドスン"

"ガチャ"

モ「お邪魔しまーす」


状況把握、状況把握。
あせる頭をフル稼働させる。
至近距離にマサイくんの顔。玄関からはモトキくんの声。覆い被さってるであろうマサイくん。

これは・・・

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